ラボの検査教室

病院で臨床検査技師として働くラボが検査結果について解説していきます

検査技師が解説するALPとは?

こんにちはラボです。僕は趣味としてフットサルをしています。フットサルはストレス発散にも繋がり仕事にも良い影響を与えています。仕事を始めると自由な時間が少なくなりますが、趣味を持つことは大事です。

では今回は肝臓や胆道系に関連するALPという項目について書きます。

 

ALPとは

アルカリホスファターゼの略で体内に存在する酵素です。肝臓や小腸、腎臓、骨などの臓器に存在しています。これらの臓器に障害が起こるとALPの値が上昇します。

 

基準値

115~359IU/l

 

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生理変動

骨が形成される子どもや妊婦さんでは健常者でも高値となります。これは骨が形成される際に骨に存在するALPが血液中に漏れ出るため上昇します。

 

異常となる原因

肝臓や胆道、小腸、骨の疾患で上昇します。なかでも胆道や骨に多く存在しているため、閉塞性胆道疾患や骨疾患の時に高度な上昇を示します。

  

異常になったら

ALP値が高いときはまず肝臓や胆道の疾患が疑われるので、まず腹痛や黄疸などの症状が出現していないか確認してください。そして症状がある場合は医療機関を受診し、病気がないか診断してもらいましょう。

 

 

またLDと同様にALPもアイソザイムが存在しますので、参考にアイソザイムのことについても書いていきます。

 

ALPアイソザイムとは

ALPは構成によって6種類のアイソザイムが存在します。種類によって存在する組織が違うため、どの種類が増加しているかによって原因臓器を判断することができます。また健常者や特定の血液型の方には存在しないアイソザイムもあります。

*アイソザイム:同じ機能を持っているが、構造が異なる酵素

 

基準値

正常の血液中には2型と3型の2種類が存在します。また血液型がO型およびB型の方では5型も存在します。

 

1型:0

2型:36~74

3型:25~59

4型:0

5型:0~16

6型:0           (%)

 

*成人では2型と3型が同じくらいですが小児では3型が高いです*

 

上昇するアイソザイムの種類と原因

1型:閉塞性黄疸や転移性肝癌などにより胆管が閉塞すると血液中に出現します。

2型:肝型。肝炎や肝内胆汁うっ滞など肝臓や胆道系に異常があれば上昇します。

3型:骨型。癌の骨への転移や骨粗鬆症など骨に何らかの異常があれば上昇します。また子どもの場合は骨の成長によっても上昇します。

4型:胎盤型。妊娠後期に出現します。稀に悪性腫瘍の患者さんにも出現します。 
5型
:小腸型。B型およびO型の人の血中に存在し、肝硬変や腎不全によってさらに高値となります。
 

6型:潰瘍性大腸炎という大腸の病気にて出現します。

 

まとめ

ALPが上昇している場合は他の血液検査の項目と合わせて原因の診断を行います。アイソザイムは精密な検査が必要な患者さんに行われる検査であり、絶対に必要な検査ではありません。他の肝機能に関連する血液検査項目によって病気が推測できる可能性も高いので、検査を行うかは担当医に任せましょう。

 

今回も少し難しい内容だったと思いますが読んでいただきありがとうございました。