ラボの検査教室

病院で臨床検査技師として働くラボが検査結果について解説していきます

クラミジアに注意しよう!!

こんにちはラボです。皆さんは性感染症についてどれほどご存知でしょうか。あまり人に知られたくな病気ですが、しっかり治さないと大変になることもある病気がたくさんあります。そこで今回は性感染症の一つであるクラミジア感染症について解説したいと思います。症状や検査法などを解説していきますので、心当たりがある方は参考にしてください。

 

クラミジア感染症とは

クラミジア・トラコマティスという細菌によって引き起こされる感染症です。性感染症の原因の半数を占めており、10~20代に多く発症しています。最近では20代の20人に3人が感染しているといわれています。

無症状や軽い症状の患者さんが多いため、早期発見が難しい病気です。女性の場合は治療せずに放置してしまうと子宮外妊娠や不妊症になる危険性が高くなる可能性があります。

 

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感染について

感染経路のほとんどは性行為によるもので精液や膣分泌液、唾液といった体液を介して感染します。性行為による感染経路には膣による性感染に加えて、口腔性交による咽頭感染、肛門性交による直腸感染といった経路もあります。また手に分泌物が付いたまま目を触ることで目に感染する場合もあります。しかしクラミジアは非常に弱い菌のため、タオルなどの生活用品や入浴などでの感染は可能性がかなり低いとされています。

 

クラミジアは感染しても無症状の場合が多いため気づかずにパートナーに移してしまう可能性があります。またコンドームが適切に使用されていない場合や不特定多数の方と性行為がある方の場合には感染のリスクがとても高くなります。コンドームは性感染症の予防にはとても重要です。正しい使い方を学び、性行為の際には着用を心がけましょう。

 

さらに妊婦さんが感染している場には出産の時に赤ちゃんへと感染させてしまう危険性があります。妊娠お可能性がある方は感染しないように十分注意しましょう。

 

 

症状

クラミジアは感染しても無症状であったり、症状が出ても軽い場合が多いために発見しにくい病気です。男性の約50%、女性の約80%の方が無症状であるといわれています。症状は菌に感染後1~3週間程度の潜伏期間を経て出現します。

 

男性

・尿道から水っぽい白濁した分泌物が出現する

・尿道にかゆみを感じる

・排尿時に痛みを感じる

 

女性

・子宮周囲に炎症を引き起こすと下腹部に痛みを感じる

・排尿時や性行時に痛みを感じる

・おりものが増加する

・不正出血が起こる

 

妊娠や出産との関連

クラミジアは放っておくと子宮外妊娠や不妊症につながる可能性があります。 男性でも女性でも不妊症となる可能性はありますので注意しましょう。また妊婦の方の場合は流産や早産のリスクが高まります。さらに産道を介して赤ちゃんへと感染する危険性もあり、赤ちゃんが感染すると新生児肺炎や結膜炎を引き起こしてしまいます。妊婦さんでもクラミジアが疑われる場合は放置せずに必ず検査を受けましょう。治療は担当医と相談し適切に行いましょう。

 

検査

男性

2時間以上排尿を我慢し、その後の出始めの尿(初尿)を用いて検査を行います。

中間尿ではなく初尿を用いることが重要です。

 

女性

子宮の分泌物、もしくは腟の粘膜部分を採取した腟分泌物を用いて検査を行います。

 

検査にはクラミジアの抗原を検出する方法やクラミジアの核を検出する方法などが用いられます。

近年では早期発見やプラーバシー保護の目的で検査キットが市販されています。インターネット上で購入し、自身で検体の採取を行って検査機関に送ると、数日で結果がわかります。

 

 

 

治療

クラミジア感染症の治療には抗生物質が用いられます。薬の種類によって2週間ほど服薬を継続するものや1度の服用で効果が1週間程度持続するものがあります。薬の効き目や症状の重症度によってどの薬を使用するかを判断するので、薬の種類や服用方法は医師の指示に従ってきちんと行ってください。

服薬後はクラミジア菌がいなくなったことを確認するために3週間程度後に再度検査を行いましょう。薬が十分に効いていないと適正な服薬を行っていても菌が死滅していない可能性があります。

 

またパートナーにも感染している可能性が高いため、クラミジア感染症が判明したらきちんと報告しましょう。そして自身が治療すると同時にパートナーの治療も行いましょう。また投薬中は体内にクラミジアが残っているため、性行為は避けたほうがよいでしょう。

 

 

まとめ

クラミジア感染症は症状が軽く早期発見が難しい感染症です。尿道の痒みや排尿時の痛みなど感染症が疑われる場合は早く検査を行いましょう。また放置すると不妊症になる可能性もあるので特に若い方は注意しましょう。近年ではインターネットで検査キットが市販されています。病院へ受診するのが恥ずかしい方は市販のキットでもいいので検査を行いましょう。