LDLコレステロールの検査値を解説
こんばんはラボです。最近は忙しくて久しぶりの更新になってしまいました。
さて今回は前回のHDLコレステロールに関連してLDLコレステロールについて解説していきます。
LDLコレステロールとは
LDLコレステロールもリポ蛋白の一種です。LDLコレステロールは細胞などに取り込まれやすい形となっており、肝臓から抹消の細胞へ運搬する働きがあります。血液中のLDLコレステロールの量が多いと抹消の細胞への運ばれるコレステロールの量が増加し、動脈硬化が進行してしまいます。そのため悪玉コレステロールと呼ばれています。
基準値
60~119mg /dl
異常値の原因
基本的には総コレステロールと同様です。
対策
総コレステロールの記事にて紹介した対策と同様です。
異常値になったら
LDLは動脈硬化のリスクが向上します。そのためLDLが多いと心筋梗塞や脳梗塞の危険性が上昇します。LDLコレステロールが10mg /dl上昇すると心筋梗塞の発生率が10%増加すると言われています。そのため運動や食事によって改善することが重要です。また高度の上昇を認める場合は主治医に相談し、薬での治療も考慮される可能性もあります。
そしてコレステロールはHDLとLDLの比率が重要です。HDLが多い場合にはほとんど問題ありませんが、LDLが多い場合は心筋梗塞や脳梗塞などの危険性が高くなります。
LH比(コレステロール)
血液中のコレステロールや中性脂肪が高いと心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなります。そのためコレステロールや中性脂肪の高値は治療が必要と考えられます。しかし近年はHDLコレステロールの高値は体に悪いものではないことがわかってきたため、LH比の数値が注目されるようになりました。LDLとHDLを個別で見た場合に正常範囲出会っても、LH比で見ると異常である場合があります。例えばLDLが135mg /dl、HDLが45mg /dlの場合どちらも異常値ではありませんが、LH比は3.0とかなりの高値です。このような場合は心筋梗塞や脳梗塞など血管疾患のリスクはかなり高いといえます。
LH比=LDLコレステロール÷HDLコレステロール
基準値
2.0以下(健康な場合)、1.5以下(高血圧や糖尿病などがある場合):正常
2.0以上:動脈硬化の疑いあり
2.5以上:血栓ができている可能性あり
(心筋梗塞などのリスクがかなり高い状態です)
異常値になったら
LH比は健康診断の項目に記載がない場合がありますが、計算によって算出可能ですので自分で計算し評価して見てください。これによってコレステロールの評価がより詳細にできます。そして異常となっている場合はLDLコレステロールを減らす、もしくはHDLコレステロールを増やすための対策を行いましょう。
まとめ
LDLコレステロールや総コレステロールの上昇は脂質異常症という疾患です。脂質異常症は心筋梗塞や脳梗塞のリスクを上昇させてしまいます。しっかりと治療を行いましょう。また生活習慣や食生活、喫煙などの習慣を改善することでも値を改善することは可能ですので、服薬治療と共に生活習慣などの改善も行いましょう。
HDLコレステロールの検査値を解説
こんにちはラボです。病院で臨床検査技師として働いています。臨床検査技師は他の医療資格同様に常日頃の勉強が大事です。そのため学会や研究会、勉強会などに参加して知識をつけています。今日は自分の専門分野の勉強会に参加しました。仕事が終わってから参加する勉強会はしんどいですが、とても勉強になる会だったので今後の仕事に生かしていけるはずです。
今回はコレステロールの中でもHDLコレステロールという項目について解説していきます。
HDLコレステロールとは
コレステロールは脂質であり、そのままでは血液には溶けません。そのため蛋白質と結合したリポ蛋白という物質になり血液中に存在します。このリポ蛋白はいくつかの種類があり、その一つがHDLコレステロールです。HDLコレステロールは血液中や血管壁の余分なコレステロールを肝臓へと運ぶ役割があります。つまりコレステロールの増加を予防する働きがあり、動脈硬化の進行を予防します。そのため善玉コレステロールと呼ばれます。
基準値
40~100mg /dl
生理変動
喫煙やストレスによって低下します。また脂肪分の高い食事を多く摂ることによっても低下します。逆に適度な運動や適切なアルコール摂取によってHDLは増えます。
異常値の原因
基準値よりも低下する原因
・生活習慣
肥満や運動不足、喫煙など不摂生をしていることが原因となります
・先天性疾患
生まれつきHDLコレステロールを作るための遺伝子に異常がある方がいます。そのような方はHDLコレステロールが低値となります。
・重度の肝臓や腎臓の疾患
肝臓や腎臓に重度の障害が起きている場合にはHDLコレステロールが低値となります。
対策
HDLコレステロールが低下している場合は生活習慣の改善などの対策を行いましょう。今回は対策法をいくつか紹介します。
・食事療法
・肥満の解消
・有酸素運動
・禁煙
異常値になったら
HDLコレステロールが低下すると動脈硬化の進行が早くなり、心筋梗塞や脳梗塞などの危険性が増します。そのためしっかりと生活習慣の改善や薬などでの治療をしっかりと行いましょう。またHDLコレステロールが基準値以上に増加することがありますが、この場合はほとんど問題ありません。
そしてコレステロールはHDLとLDLの比率が重要です。HDLが多い場合にはほとんど問題ありませんが、LDLが多い場合は心筋梗塞や脳梗塞などの危険性が高くなります。
まとめ
HDLコレステロールは血液中の余分なコレステロールを取り除く働きがあります。そのため血液検査では低下していないかを確認しましょう。上昇している場合はあまり心配はありません。HDLコレステロールの値は生活習慣や食生活などに大きく影響されますでの、検査結果が低値になっている場合には生活習慣や食生活の改善を行いましょう。
クラミジアに注意しよう!!
こんにちはラボです。皆さんは性感染症についてどれほどご存知でしょうか。あまり人に知られたくな病気ですが、しっかり治さないと大変になることもある病気がたくさんあります。そこで今回は性感染症の一つであるクラミジア感染症について解説したいと思います。症状や検査法などを解説していきますので、心当たりがある方は参考にしてください。
クラミジア感染症とは
クラミジア・トラコマティスという細菌によって引き起こされる感染症です。性感染症の原因の半数を占めており、10~20代に多く発症しています。最近では20代の20人に3人が感染しているといわれています。
無症状や軽い症状の患者さんが多いため、早期発見が難しい病気です。女性の場合は治療せずに放置してしまうと子宮外妊娠や不妊症になる危険性が高くなる可能性があります。
感染について
感染経路のほとんどは性行為によるもので精液や膣分泌液、唾液といった体液を介して感染します。性行為による感染経路には膣による性感染に加えて、口腔性交による咽頭感染、肛門性交による直腸感染といった経路もあります。また手に分泌物が付いたまま目を触ることで目に感染する場合もあります。しかしクラミジアは非常に弱い菌のため、タオルなどの生活用品や入浴などでの感染は可能性がかなり低いとされています。
クラミジアは感染しても無症状の場合が多いため気づかずにパートナーに移してしまう可能性があります。またコンドームが適切に使用されていない場合や不特定多数の方と性行為がある方の場合には感染のリスクがとても高くなります。コンドームは性感染症の予防にはとても重要です。正しい使い方を学び、性行為の際には着用を心がけましょう。
さらに妊婦さんが感染している場には出産の時に赤ちゃんへと感染させてしまう危険性があります。妊娠お可能性がある方は感染しないように十分注意しましょう。
症状
クラミジアは感染しても無症状であったり、症状が出ても軽い場合が多いために発見しにくい病気です。男性の約50%、女性の約80%の方が無症状であるといわれています。症状は菌に感染後1~3週間程度の潜伏期間を経て出現します。
男性
・尿道から水っぽい白濁した分泌物が出現する
・尿道にかゆみを感じる
・排尿時に痛みを感じる
女性
・子宮周囲に炎症を引き起こすと下腹部に痛みを感じる
・排尿時や性行時に痛みを感じる
・おりものが増加する
・不正出血が起こる
妊娠や出産との関連
クラミジアは放っておくと子宮外妊娠や不妊症につながる可能性があります。 男性でも女性でも不妊症となる可能性はありますので注意しましょう。また妊婦の方の場合は流産や早産のリスクが高まります。さらに産道を介して赤ちゃんへと感染する危険性もあり、赤ちゃんが感染すると新生児肺炎や結膜炎を引き起こしてしまいます。妊婦さんでもクラミジアが疑われる場合は放置せずに必ず検査を受けましょう。治療は担当医と相談し適切に行いましょう。
検査
男性
2時間以上排尿を我慢し、その後の出始めの尿(初尿)を用いて検査を行います。
中間尿ではなく初尿を用いることが重要です。
女性
子宮の分泌物、もしくは腟の粘膜部分を採取した腟分泌物を用いて検査を行います。
検査にはクラミジアの抗原を検出する方法やクラミジアの核を検出する方法などが用いられます。
近年では早期発見やプラーバシー保護の目的で検査キットが市販されています。インターネット上で購入し、自身で検体の採取を行って検査機関に送ると、数日で結果がわかります。
治療
クラミジア感染症の治療には抗生物質が用いられます。薬の種類によって2週間ほど服薬を継続するものや1度の服用で効果が1週間程度持続するものがあります。薬の効き目や症状の重症度によってどの薬を使用するかを判断するので、薬の種類や服用方法は医師の指示に従ってきちんと行ってください。
服薬後はクラミジア菌がいなくなったことを確認するために3週間程度後に再度検査を行いましょう。薬が十分に効いていないと適正な服薬を行っていても菌が死滅していない可能性があります。
またパートナーにも感染している可能性が高いため、クラミジア感染症が判明したらきちんと報告しましょう。そして自身が治療すると同時にパートナーの治療も行いましょう。また投薬中は体内にクラミジアが残っているため、性行為は避けたほうがよいでしょう。
まとめ
クラミジア感染症は症状が軽く早期発見が難しい感染症です。尿道の痒みや排尿時の痛みなど感染症が疑われる場合は早く検査を行いましょう。また放置すると不妊症になる可能性もあるので特に若い方は注意しましょう。近年ではインターネットで検査キットが市販されています。病院へ受診するのが恥ずかしい方は市販のキットでもいいので検査を行いましょう。
中性脂肪(TG)の検査値を解説
こんにちはラボです。僕が勤務している病院では健康診断や人間ドックも行っています。最近は健康診断や人間ドックを受ける方も増えてきています。これは健康維持のための生活改善や病気の早期発見・早期治療の重要性が一般的にも知られてきたからだと思います。この重要性がさらに知られ、健康的に長生きできる世の中になるように皆さんも健康診断や人間ドックを受けましょう。
今回は皆さんも聞いたことがあるかと思いますが、中性脂肪という項目について解説していきます。実際どのようなものなのかご存知ですか?
中性脂肪(TG:トリグリセリド)とは
中性脂肪は体のエネルギー源であるブドウ糖が不足した場合の代用のエネルギー源です。また体内に取り込んだエネルギーが余った場合に肝臓で中性脂肪に合成し、皮下脂肪として蓄えられます。このように中性脂肪は体の活動に不可欠なものですが、摂りすぎは肥満や脂肪肝の原因となり他の病気の原因となってしまいます。
基準値
50~149mg /dl
異常値になる原因
基準値よりも上昇する原因
・食べ過ぎ、飲み過ぎ
食べ過ぎや飲みすぎなどにより摂取する栄養分が多いと消費できず、中性脂肪への合成が増加し血液中の濃度が上昇します。
・運動不足
エネルギーのの消費が低下し、中性脂肪の値は上昇します。
・甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌低下により体の代謝が低下し、中性脂肪の分解が少なくなり上昇します。
・ネフローゼ症候群
ネフローゼ症候群では血液中のアルブミンが尿として漏れ出てしまい血液中のアルブミン濃度が低下します。すると肝臓がアルブミンの合成を活発化させます。それに伴い肝臓での中性脂肪の合成も一緒に活発化し、血液中の濃度が上昇します。
基準値よりも低下する原因
・食事制限
採血前に過度な食事制限すると値が低下します。
・肝障害
中性脂肪は肝臓で合成されます。そのため肝臓の機能が低下すると合成能力が低下し、中性脂肪の値が低下します。
・甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンの過剰分泌により体の代謝が亢進します。それにより中性脂肪の分解が多くなり、値が低下します。
注意点
中性脂肪の測定は食事に大きく影響されるため空腹時に行うことが基本です。そのため高値でも採血前に食事をとっている場合はその影響が考えられます。中性脂肪の値は食後4~6時間がピークになるので、正確な値を測定するためには12時間程度の絶食が必要です。
異常値になったら
総コレステロールの値と同様に高値が続くと動脈硬化が進行してしまいます。そのため中性脂肪が高値だと心筋梗塞や脳梗塞などの血管疾患にかかる可能性が高くなります。さらに中性脂肪が高値となると血液がドロドロとなり、血管が詰まりやすくなります。また中性脂肪がとても高い値になると膵炎になる可能性が非常に高くなるので注意が必要です。
そして中性脂肪の値は低くても注意が必要です。体内の中性脂肪が少なすぎるといざエネルギーが必要だとなった時に必要な分を補給することができずにエネルギー不足になってしまいます。エネルギーが不足するとめまいや頭痛などの症状が起きてしまうこともあります。過度なダイエットや食事制限は中性脂肪の低下の原因となりますので注意しましょう。
予防
基本的には食事に注意しましょう。摂取カロリーを抑え、糖分やアルコールを控えましょう。体内の過剰な糖を肝臓で中性脂肪に変わってしまうため糖分も制限が必要ですです。また魚や野菜などの食品や運動は中性脂肪を下げるのに有効とされています。
まとめ
中性脂肪の高値は動脈硬化の進行を早めてしまいます。そして動脈硬化の進行は心筋梗塞や脳梗塞などの血管疾患につなるので、食事制限や運動などで中性脂肪を上昇させないように注意しましょう。また生活改善では値が改善しない場合は服薬治療も考慮されますので、医療機関を受診しましょう。
総コレステロールの検査値を解説
こんにちはラボです。4月19日に映画『キングダム』の上映がスタートしました。僕は以前から漫画の『キングダム』が大好きで、ずっと読んでいました。早速映画も観に行きたいなと思っています。情報番組などで壮大なスケールで撮影されているという情報をみたので、とても楽しみです。
では今回は皆さんも気になるだと思う検査項目の総コレステロールという項目について解説していきます
総コレステロールとは
コレステロールは細胞の構成成分やホルモンの成分、消化液の成分などの役割として体内に存在します。しかし、体内で過剰状態になると動脈の壁に付着して動脈硬化の原因となり、この動脈硬化が進行すると心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。また不足状態でも体に必要な細胞やホルモン、消化液が十分に作られないため治療が必要です。
基準値
120~219mg /dl
異常値となる原因
基準値よりも上昇する原因
・甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンの分泌量が低下します。そうなるとホルモンの構成成分であるコレステロールの消費量が低下するため、値が上昇します。
・ネフローゼ症候群
体内のコレステロールは主に肝臓で合成されます。ネフローゼ症候群では肝臓でのコレステロールの合成が亢進し、コレステロールの値が上昇します。
基準値よりも低下する原因
・肝障害
肝臓に障害があるとコレステロールの合成が阻害され、コレステロールの値が低下します。
・甲状腺機能亢進症
甲状腺低下症とは逆で甲状腺ホルモンの過剰分泌によりコレステロールが消費され、コレステロールが低下します。
・栄養失調
コレステロールは食事によって補給します。しかし摂取するコレステロール量が不足するとコレステロールが低下します。
生理変動
基本的に加齢によって上昇していきます。男性では50代で女性では60代でピークとなると言われています。そのためコレステロールの値が異常になったり、徐々に値が上昇していったりしても不安に思わず、まずは専門医(内科)にご相談ください。
異常値になったら
コレステロールが高値となる原因は主に食べ過ぎや飲み過ぎ、糖尿病などによるものです。そのため治療の第一歩は食事療法や運動療法です。しかし、高コレステロール血症はすぐに症状が現れるものではありません。そのため危機感が薄く治療に身が入りにくいかもしれませんが、放置すると重大な疾患にかかる可能性があるのでしっかりと治療をおこないましょう。食事療法や運動療法は担当医や栄養士の指導のもとで行いましょう。過度な食事制限や運動は体の他の部分に異常をきたす原因となりかねませんので無理はしないようにしましょう。コレステロールが高値の時にオススメの食事について少し紹介しておきます。
食生活について
・脂質の多い食べ物
卵、肉類、チーズなどの乳製品
・改善にオススメの食べ物
野菜やキノコ類など食物繊維の多いものは腸管でのコレステロール吸収を抑えます。さんまやさばなどの青魚やビタミンCやEが豊富な食べ物は動脈硬化の予防に効果があるとされています。
まとめ
コレステロールは動脈硬化の進行の原因となり、心筋梗塞や脳梗塞など血管の病気に繋がってしまいます。コレステロールの値が高い方はしっかりと治療を行いましょう。
尿検査ではこんなことに注意!!
おはようございますラボです。今日は仕事で人間ドックの腹部超音波検査をしていました。その中の受診者さんに前年も僕が検査を行った方がいて、前年に症状が出現する前の病気を見つけました。その検査結果によって早期治療が行え、重症化しなくて済みましたと感謝の言葉をいただきました。今までしっかりと勉強し検査に取り組んできたことが報われた気持ちでした。皆さんも人間ドックや健康診断を定期的に受け、病気をより早く見つけられるようにしましょう。
さて今回は病院や健康診断で行われる尿検査についての注意点を解説していきます。
尿検査とは
尿を検体として行う検査のことです。尿は採取するのに簡便で苦痛を伴わないため容易に検査を行うことができるので、病院や健康診断など様々なところで行われます。
注意点
・中間尿を採取しましょう
検査用に採取する尿は最初と最後の部分を捨て、中間部分の尿を採取しましょう。特に女性では健康な方でも最初の尿には細菌が混ざることがあります。しかし出始めの尿を採取しなければならない検査項目もありますので、担当者の指示に従って採取しましょう。
・尿量
検査項目によって必要となる尿の量は違います。事前に指示された量をしっかりと採取しましょう。また十分な量が採取できない場合は取り直しとなる場合もありますので、十分に尿をためておきましょう。
・前日の食事
事前に尿検査が分かっている場合は、前日にビタミン剤や栄養ドリンクなどは控えましょう。これらの成分の一部が尿に出てきてしまうことがあり、検査に影響を及ぼしてしまう可能性があります。
・服薬
薬によって尿検査に影響を与えることもありますが、検査のために薬を中止することはやめましょう。薬や治療を中断してまで行わなければならない検査ではありません。もし薬を中断しようとお考えの時は、主治医に相談の上で行いましょう。また事前の問診にて薬のことを申告していれば、それを考慮して検査結果を判断してくれます。
・生理中の方
生理中の方は尿中に血液が混ざってしまい潜血反応が陽性になりますので、事前に申告しましょう。
検査について
・試験紙法
試験紙を尿に浸して、試験紙の色調の変化で尿蛋白や尿糖などを定性的に判断します。
*定性的とは数値ではなく-、+での判定です*
・尿沈渣検査
尿を遠心機にかけ、沈殿した尿中の固形成分を顕微鏡で観察します。どのような固形成分が含まれているかによって病気の診断や泌尿器系の癌の早期発見にも役立ちます。
まとめ
最初にも書きましたが尿は採取するのがとても簡便な検体です。そして簡便に採取できる尿ですが、様々な情報を得ることができるとても重要な検査です。内科や泌尿器科を受診される場合は尿検査を行う可能性が高いので受診前に尿をして行かないようにしましょう。
PSAの検査値を解説
こんにちはラボです。最近ニュースでは演出家の宮本亜門さんが前立腺がんを患っているということが報道されています。前立腺がんとは男性にのみ存在する前立腺というところにできるがんで、年々日本での患者さんは増加しています。これは食の欧米化や高齢化による影響が大きいとされています。そこで今回は前立腺がんの検出に用いられるPSAという項目について解説していきます。
前立腺とは
前立腺は男性の膀胱の下側にあります。女性にはありません。大きさは10~20g程度でクルミ大と表現されます。精液の一部である前立腺液を分泌する機能を持っていますが詳細についてはあまり解明されていません。
PSAとは
PSAとは『前立腺特異抗原』の略で前立腺から分泌される蛋白質です。健常者でも血中に少量のPSAが存在していますが、前立腺がんがあるとPSAが血中に大量に分泌されます。また前立腺がんに対して比較的精度が高く、血液検査で行えるので簡単に行えます。
基準値
4.0ng/ml 以下
異常になる原因
前立腺がんや前立腺炎、前立腺肥大症などの前立腺の疾患によって値が上昇します。また前立腺への外部刺激でも上昇します。針による生検や手術、尿道カテーテルなどの治療によっても刺激となり上昇します。さらに射精によっても上昇することがあります。に数値を観察していくことも重要です。
*特にPSAが10ng/ml以上の場合には前立腺がんが50%程度の確率で疑われます*
異常値になったら
前立腺がんの可能性が高いのでCTやMRIなどの画像診断によってがんかどうかを評価します。そして画像診断によってがんが疑われる場合には前立腺の組織を採取してがんかどうかを診断する生検を行います。また前立腺肥大症でもPSAは上昇するので超音波検査で前立腺が腫大していないかを評価することもあります。
いくつかの原因によりPSAは上昇します。精密検査で異常がなくても1回の値での評価だけでなく、定期的に検査を行い継続的に数値を観察していくことが重要です。
前立腺がんについて
前立腺にできる悪性腫瘍で、症状は排尿障害や頻尿が現れることが多いです。治療については手術によって前立腺を摘出する手術療法や放射線療法、ホルモン療法などがあります。治療方によっては生殖能力に影響を及ぼす可能性があるので、将来子どもをもつことを希望される方は担当医と相談し治療法を決定しましょう。
まとめ
PSAが高値となった場合には前立腺がんが疑われます。前立腺がんは早期発見によって治療が可能です。異常値が認められた場合は早急に泌尿器科を受診してください。
今日も読んでいただきありがとうございました。
肺機能検査てなに??
こんばんはラボです。今回は肺活量の検査を紹介したいと思います。この検査は人間ドックで行われたり、全身麻酔の手術をする前に肺の機能が低下していないかを調べたりする時に行われます。
肺機能検査(スパイロメトリー)とは
肺や気管支などの呼吸器を調べる検査です。息を吸ったり吐いたりして、吸う力や吐く力、酸素をとり込む能力などを検査します。今回は人間ドックで測定される2つの項目を紹介します。
・肺活量(VC)
肺の容量を測定する項目です。年齢と身長、性別から算出された予測値と測定した値を比較した割合によって結果を判断します。空気をいっぱいまで吸ったところから、いっぱいまで吐いたところまでの空気の量を測定しています。
・努力性肺活量(FVC)
勢いよく吐き出した時の最初の一秒間に吐き出した量(1秒量)を調べます。それにより気管の閉塞障害を調べます。これも肺活量同様に年齢と身長、性別から算出された予測値と測定した値を比較した割合によって判断します。空気をいっぱい息を吸った所から勢いよく吐きだし、空気の吐き出しやすさを評価しています。
検査方法
検査用の機械につながったマウスピース(筒)を口にくわえて、鼻栓をし測定していきます。
・肺活量
最初はいつも通りの呼吸を数回行います。その後空気をいっぱいまで吐いて、次にいっぱいまで吸い、さらにいっぱいまで吐いて終了です。
・努力性肺活量
肺活量同様に最初はいつも通りの呼吸を行います。その後空気をいっぱいまで吸い、勢いよく一気に息をいっぱいまで吐いて終了です。この時最後まで息を吐き続けることと途中で息を吸わないように注意が必要です。
結果
測定した肺活量と予測値との比較を%肺活量と言います。この%肺活量は80%以上が正常値で、それ以下の場合に拘束性肺障害が疑われます。努力性肺活量の場合は1秒率が70%以上が正常値です。それ以下の場合は閉塞性障害が疑われます。
*1秒率は測定された肺活量や1秒量、性別、年齢などから算出される値です*
肺機能の異常
拘束性障害
肺活量が低下します。肺の組織が障害されて収縮しづらくなります。
原因
・肺の弾性力の低下(肺の収縮能力の低下) : 肺線維症、間質性肺炎など
・胸部の拡張の障害(胸が膨らまない) : 古い胸膜炎など
・呼吸運動の障害 : 肋骨や筋肉、神経の障害など
閉塞性障害
1秒率が低下しています。肺から口までの気管に異常がある場合や肺内の細い気管に障害がある場合に起こります。
原因
・気道閉塞 : 喘息、気管支炎
・肺気腫 : 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
混合性障害
拘束性と閉塞性が混合した肺障害です。
注意点
・この検査では患者さんの協力が必須条件です。患者さんの最大限の努力が無ければ正確な値が出ません。そのため技師の指示にしたがってください。
・最大限の努力を行っているかを確認するために同様の検査を数回おこなっていただく可能性があります。
・気胸や骨折、肺炎などの患者さんに対しては行ってはいけないこととなっています。これらの疾患の方は事前に申告してください。
・結核など感染性の高い疾患の方に対しても行ってはいけません。
まとめ
閉塞性障害の大きな原因の一つとして慢性閉塞性肺疾患(COPD)が挙げられます。これは喫煙によって気管支に障害が起こることで発症します。そのためこの検査で異常が認められる場合には禁煙をお勧めします。
肺機能検査には今回紹介した肺活量と努力性肺活量以外にもいくつかの項目があります。今回紹介した項目で異常が認められた場合に精密検査として他の項目を測定することがあります。他の項目も肺活量や努力性肺活量同様に患者さんの協力が必要不可欠ですので、皆さんも肺活量の検査を行う際は担当の技師の指示にしたがってください。
赤血球数の検査値を解説
こんにちはラボです。みなさんは貧血でお困りではありませんか。貧血は血液中の赤血球が少なくなることで、体に酸素が供給されないためめまいや倦怠感が起こります。今回はこの赤血球の数について解説していきたいと思います。
赤血球について
赤血球は血液の主な成分で、酸素を肺から各組織に運搬する働きをします。赤血球に関連する検査項目には赤血球の数やヘモグロビン、ヘマトクリットという値があります。体内の赤血球が減少すると体内の各組織へ酸素を運ぶ能力が低下し、細胞が酸素不足に陥ります。体が酸素不足になると様々な症状が出現し、進行すると死に至る可能性がありとても危険です。
赤血球の検査項目である赤血球数は言葉の通り赤血球の数です。ヘモグロビンは血液中のヘモグロビン量を示します。ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質で、酸素の運搬にとても重要な役割を果たしています。そしてヘマトクリットは血液中の赤血球の比率を示す値です。これらの項目を総合的に評価し赤血球の評価をします。
基準値
赤血球数 : 男性 420~570万個 、 女性 380~500万個
ヘマトクリット : 男性 40~52% 、 女性 33~45%
ヘモグロビン : 男性 13~18g /dl 、 女性 11~16g /dl
異常となる原因
基準値より上昇する原因
・血液疾患
様々な病気により赤血球の数が高値となります。症状が進行すると血液中の血球の密度が高くなり、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓を伴う疾患を起こす可能性が上昇します。
・脱水
脱水などにより相対的に赤血球などの数値が上昇することがあります。これは水分補給などで改善されます。
基準値より低下する原因
・造血障害
血液を造る部分に異常が起こることで血球が減少します。原因には様々なものがあり、再生不良性貧血や白血病などの疾患が挙げられます。
・栄養素の不足
赤血球を造るには鉄分やビタミンなどの栄養素が必要となります。しかしこれらの栄養素を十分に摂取できていないと赤血球が不足します。鉄剤やビタミン剤などで栄養素を補ってあげることで改善します。
・エリスロポエチン不足
赤血球は腎臓から産生されるエリスロポエチンというホルモンの指令により造られます。しかし腎臓が障害され、エリスロポエチンの産生が不足すると体が赤血球を造ろうとしないため、赤血球が少なくなってしまいます。
・赤血球の異常
赤血球の異常により体内で赤血球が破壊されることによって減少します。赤血球の寿命は通常120日程度とされていますが、赤血球に異常が起こるとそれよりも早く破壊されてしまいます。すると赤血球が造られるよりも壊される方が多くなり、赤血球が減少してしまいます。
・出血
怪我や手術などにより多量に出血すると体内の血液量が減少します。赤血球だけでなく血液自体が減少してしまいますので、迅速な対処が必要となります。ちなみに人間は体内の血液の30%程度が失われると死の危険があるとされています。
貧血について
上記のような原因により赤血球が減少した状態を貧血と呼びます。様々な原因の中から原因を診断するために赤血球に関連するいくつかの検査を行います。そして貧血になると動悸、息切れ、めまい、倦怠感などの症状が現れ、さらに進行すると気を失ったり、死に至ることもあります。
主な種類
・鉄欠乏性貧血
最も頻度の高い貧血です。赤血球数が高度に低下します。慢性的な出血や鉄分の摂取不足により起こります。鉄剤の投与により改善することが多いです。
・溶血性貧血
血液の病気により体内で赤血球が寿命より早く壊されることで起こります。
貧血は赤血球数、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値とその3つの項目から算出されるMCV、MCH、MCHCという値からいくつかの種類に分類されます。分類をのせて見ましたので血液検査の結果を受け取った際には参考にしてみてください。
MCV:赤血球1個の容積(赤血球の大きさ) (基準値:85〜102 fl)
MCH:赤血球1個に含まれるヘモグロビンの量 (基準値:28〜34 pg)
MCHC:赤血球1個にヘモグロビンの濃度 (基準値:30〜35 %)
貧血の分類 |
MCV |
MCH |
MCHC |
|
小球性低色素性 |
低下 |
低下 |
低下 |
鉄欠乏性貧血 |
慢性出血性貧血 |
||||
正球性正色素性 |
正常 |
正常 |
正常 |
溶血性貧血 |
再生不良性貧血 |
||||
腎性貧血 |
||||
大球性 |
上昇 |
上昇 |
正常 |
悪性貧血 |
溶血性貧血 |
||||
肝硬変 |
まとめ
貧血になると様々な症状が起き、進行すると命に関わることもある疾患です。血液検査で貧血が疑われる場合は医療機関を受診し、精密検査や治療を行いましょう。
高度の貧血に陥ってしまった場合は輸血が有効な対処法です。多量の出血による貧血の場合は輸血で血液量の低下の対処を行い、その間に出血部分の処置を行うことで救命することができます。しかし輸血には副作用もありますので担当医の説明をしっかりと聞いた上で判断しましょう。
そして病気による貧血の場合は根本的な病気の治療が必要になります。精密検査を行い貧血の原因を診断し、治療を行いましょう。ただし軽度の貧血の場合は経過観察や食事療法などで大丈夫なケースもありますので、担当医の判断に任せましょう。
今回は検査結果の項目に見慣れない項目(MCV、MCH、MCHC)があるかと思います。これらは貧血の原因検索に用いるための項目であり、少しの異常は気にしなくても良いでしょう。
今回も読んでいただきありがとうございます。
血小板数の検査値を解説
こんばんはラボです。臨床検査技師として働いている僕ですが、臨床検査技師は他の医療関係者同様に日々の学習が必須です。日々医療は進歩していくので僕たちも日々勉強をしていかないと医療の進歩についていけなくなってしまいます。そのため僕が勤務する検査室では定期的に技師同士で勉強会を開催して勉強しています。将来医療関係の仕事を目指している方は就職してからも勉強の日々だということを覚悟して目指してくださいね。
では今回は前回に続き血球の一種である血小板について解説していきます。
血小板とは
体で出血が起きると血小板が傷口に集まり血液を固め、傷口を塞ぎ、出血を止めます。血小板が少なくなると出血した時に血が止まりにくくなったり、ちょっとしたことで内出血ができたりします。また、血小板が多くなり過ぎると血栓ができやすくなってしまうので、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高くなってしまいます。
基準値
13~37万 /μl
異常となる原因
基準値が上昇する原因
・血液疾患
血液のがんである白血病では血小板が異常に増加します。また、血小板が多くなる病気である本態性血小板血症や全ての血球が多くなる真性多血症などでも増加します。
基準値が低下する原因
・貧血
血液を造る機能に異常がある再生不良性貧血などでは低下します。
・血液疾患
白血病の中でも急性白血病という種類では血小板は低下します。
・肝疾患
肝硬変では血小板を造る命令をだすホルモンが放出されず、血小板が低下します。
異常値になったら
血小板が少ないと血が止まりにくくなるためとても危険です。ケガで出血する大量に血液を失ってしまう可能性がありますし、脳出血では血が止まりにくいと重症化してしまいます。
そのため高度の低値を示す場合には輸血治療が必要となります。近年では献血者の減少が問題となっていますが、このような病気の方には必要な治療です。さらに血小板用の輸血用血液は使用期限がとても短く、定期的な献血による供給がとても大事です。そのため日頃から献血に関心を持ち、できれば献血に協力しましょう。もしこのような病気に自分がなってしまった時に輸血に助けられることになります。
まとめ
血小板の低下は血が止まりにくくなり、怪我や脳出血などが重症化することがあるので医療機関を受診して原因を調べ、早期に治療を行いましょう。そして血小板の低下に対する対症療法は輸血治療になります。皆さんも献血に関心を持ち、献血に協力しましょう。
今回も読んでいただきありがとうございます。次回の記事もよろしくお願いします。
風疹を知って、感染に気をつけよう!!
こんにちはラボです。最近ニュースなどで風疹が話題となっています。特に妊婦さんへ感染することで胎児に起こる先天性風疹症候群が問題となっています。そこで今回は風疹について解説していきたいと思います。この記事を読んでいただき、皆さんも風疹に注意してください。
風疹とは
風疹ウイルスを原因とし発熱や発疹、リンパ節の腫れを主症状とした感染症です。潜伏期間は2~3週間といわれておりますが、症状が現れずに治癒する不顕性感染の人も15~30%程度存在します。症状はいくつかありますが典型的なものはなく、検査を行わなければ風疹とは確定できません。
感染について
風疹ウイルスは感染した患者さんの咳や鼻水などを介する飛沫感染によって感染します。口や鼻から侵入したウイルスが喉や鼻のリンパ節で増殖し、血液を介して全身へと運ばれることで症状を引き起こします。感染力は比較的強く、インフルエンザよりも強いといわれています。そのため予防接種によって免疫をつけて集団感染が起こらないようにすることが最大の予防と考えられます。
症状
初期:倦怠感や微熱、首のリンパ節の腫れです
3~7日後:発疹が顔から全身にかけて出現します。
・合併症
頭痛、発熱、吐き気を伴った脳炎が稀に合併します。重症化すると意識障害が起きます。
・先天性風疹症候群
妊婦さん、特に妊娠20週程度までの妊婦さんが風疹ウイルスに感染すると、赤ちゃんが先天性風疹症候群にかかります。心疾患や白内障などの眼疾患、難聴、脳性麻痺などの重篤な障害が現れます。妊娠時期によって赤ちゃんの罹患率に違いがありますが、特に12週までの確率は高いとされています。
検査
血液検査によって風疹ウイルスに対して抵抗を示す抗体の量を測定し診断します。風疹ウイルスに感染しているかどうかは血液以外にも尿や髄液などでも検査します。
治療
風疹ウイルスに効く薬はありません。そのため症状を緩和させるための対症療法が行われます。また症状が軽度であれば治療などをしなくても自然治癒します。しかし他人に感染させないために外出は控えましょう。
予防
感染は飛沫感染によって起こります。そのためマスクや手洗いが予防には重要です。また風疹に感染してしまった場合でもマスクをしましょう。これは咳の飛沫が周囲に飛んでしまわないようにすることで周囲への感染が予防できます。
妊娠初期に風疹ウイルスに感染してしまうと赤ちゃんが先天性風疹症候群にかかってしまうので、妊娠する可能性がある方は事前に予防接種を行うことをお勧めします。妊娠中には予防接種は打てません。これはワクチンが生ワクチンといってとても弱ったウイルスを接種するものなので、このワクチンによって赤ちゃんへの影響が考えられます。
もし妊婦さんで風疹の疑いがある場合はすぐに産婦人科へ受診せずに、まずは電話にて主治医に相談しましょう。すぐに産婦人科へ受診してしまうと他の妊婦さんへ感染させてしまう可能性があるので注意しましょう。さらに周囲に妊娠の可能性がある妻や娘がいらっしゃる方も予防接種をして、風疹にかからないように注意しましょう。
まとめ
風疹は感染力がとても強い感染症です。そして妊婦さんに感染してしまうと胎児が先天性風疹症候群になってしまう可能性がありますので、予防接種やマスクなど感染しないように注意しましょう。また妊婦さんの周囲の方も念のため予防接種をして感染対策を行うことをお勧めします。
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検査技師が解説する白血球数とは?
こんばんはラボです。ついに新年度がやってきました。僕の病院にも新入職員がやってきました。毎年この期間は新人がたどたどしく仕事をしているので『頑張れ』と思いながら見守っています。皆さんも新人さんには優しく接してくださいね。
さて今回は白血球数についてです。今回も僕のブログで少しでも知識を身につけていただけたら嬉しいです。
白血球数とは
白血球とは体内の免疫機能に関与しており、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を消化分解したりして除去する働きがあります。免疫機能に関与する白血球ですが、好中球、リンパ球、好酸球、好塩基球、単球と5種類の血球の総称です。この5種類の血球は機能が違いますが、今回は白血球の数について詳しく書いて行きます。
基準値
4000~9000/μl
*個人差や日内変動が大きいため基準値の範囲は結構広くなっています*
生理変動
白血球は朝方に低く、夕方になるにつれ上昇してきます。さらに激しい運動後やストレス、喫煙などによっても上昇がみられます。
異常となる原因
基準値よりも上昇する原因
・炎症
肺炎や虫垂炎など急性感染症の時には好中球やリンパ球が細菌やウイルスを除去しようとして免疫機能が活性化するため、白血球数が上昇します。炎症での上昇は風邪などの軽い疾患でも上昇し、怪我や手術後などの外傷でも上昇します。
・アレルギー
体内でアレルギー反応が起こると白血球が活性化し数値が上昇します。
・血液疾患
白血病などの血液の病気でも上昇します。白血病とは血液のがんで、白血球ががん化することで発症します。白血病ではかなり高い値となることが多く、数倍から10倍ほど数値が上昇します。
白血病は血液内の白血球を顕微鏡で観察することで診断します。そしてさらに精密な検査として骨髄を採取して、骨髄内の血球を顕微鏡で観察する検査もあり、これによって白血病の種類を判断します。白血病はいくつかの種類に分けられ、種類によって生存率や治療スケジュールが異なるため白血病の種類を判断することは重要です。
基準値よりも低下する原因
・貧血
再生不良性貧血、悪性貧血など血球を造る機能に異常があると白血球数が低下します。
・血液疾患
白血病の種類の中には白血球数が減少するものもあります。
・抗がん剤治療
がんの治療で抗ガン剤を使用している方は抗ガン剤によって血球が破壊され低値を示します。
まとめ
白血球数が上昇している場合はCRPと同様に体内で炎症が起こっている可能性が高いので、病院を受診し原因を突き止める必要があります。また感染症ではなく白血病などの血液疾患の場合でも早期治療が望ましいので、できるだけ早く病院を受診することが重要です。
また低下している場合では免疫機能が低下している状態であり、感染症にかかりやすくなっています。そのため早期の原因究明や治療が望まれます。そして白血球数が回復するまでは、感染症にかかりやすいのでマスクや手洗い、うがいなどの感染症予防を心がけるようにしましょう。
今回も白血球のことが学べる本を紹介します。皆さんも良かったら読んでみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
検査技師が解説するCRPとは?
こんにちはラボです。病院で臨床検査技師として働いています。最近かなり暖かくなって来ましたね。僕は病院の中で働いているので直接外の気温を感じることはありませんが、患者さんの服装で暖かくなって来たんだなと感じます。そして寒さが去っていくと脳梗塞や心筋梗塞など血管疾患の患者さんが少なくなります。次は暑さによる熱中症が増えていきますので、皆さん熱中症にならないように気をつけましょう。
さて今回はCRPという項目について書いていきたいと思います。
CRPとは
体内に炎症が起きたり組織が障害されたりすると血液中に現れる蛋白の一種で、C反応性蛋白と呼ばれます。正常な血液中には微量しか見られないため、値の上昇は体内の炎症の有無を判断するのに有用な検査です。炎症の出現にて鋭敏(12時間程度)に反応し、病態の改善後は速やかに低下していきます。
基準値
0.30mg /dl未満
異常値となる原因
感染症や悪性腫瘍、外傷、手術後などの炎症に伴い上昇し、値が高ければ高いほど炎症が強いと判断できます。CRPは風邪や胃腸炎、アトピー性皮膚炎等の炎症でも上昇していきます。
まとめ
CRPは炎症が起きれば急速に上昇しますが、症状が改善されなければ低下していきません。そのためCRPが上昇させている時には原因をしっかり診断し、治療していく必要があります。またCRPが上昇している場合には症状がなくても体のどこかで炎症が起きている可能性が高いので、原因の検索をする必要があります。さらに手術後の炎症の状態を評価したり、感染症の治療効果の評価など病気の診断以外にも重要な役割を果たしており、病院では頻繁に行われる検査の一つです。
そして血液中の白血球数の値も炎症の評価に用いられる検査項目です。そこでCRPと白血球数とを合わせて検査し、より正確な炎症の評価が行われることもあります。次回は白血球について解説していきたいと思います。
臨床検査技師になるための大学生活体験談 〜パート②〜
こんにちはラボです。今回は前回の大学生活の体験談を引き続き書いていきます。
まずは前回の続きで3年生の話です。
大学3年生
・授業
大学の講義も3年生になるとほとんどが専門科目です。専門科目の単位は国家試験を受験するために必要となるので、落とすことがそのまま留年に繋がります。そのためテストの時は留年にならないために夜遅くまで必死に勉強をしたのを覚えています。そして学内実習が増えてきます。3年の実習は2年生の時にした理科の実験の様な実習から実際の検査を体験する実習まで幅広い実習がありました。そして中でも僕が嫌だったのは採血の実習です。学生同士が採血し合うなんとも恐ろしい実習です。僕は採血の時に手が震えてしまうので、とても苦手で辛い実習でした。
さらに3年生になると学外での実習も登場してきます。学外の実習とは病院や検査センター、検診センターでの実習です。実際の現場を体験させてもらうもので、将来こんな仕事をするんだと実感できる体験です。実際に診療につながる現場での実習のため緊張感があり、大変貴重な体験でした。
・大学生活
3年生では授業が忙しくなり、日常生活で遊びやバイトをする余裕はなくなってきます。この頃は実習のレポートや勉強を夜遅くまでしていた記憶しかありません。今から思うと4年間で1番忙しい1年だったと思います。
大学4年生
・授業
4年生になると講義がほとんどなくなります。学内および学外実習が授業のメインです。特に病院での実習は期間も数ヶ月と長く、実習のレポートも時間がかかるためとても大変でした。
さらにそれらの実習のなかで卒業論文の作成を行わなければなりません。論文の題材を決定し、論文作成のための実験を行い、論文を作成します。僕の場合は比較的早く3ヶ月程度で完成したかなと思います。やや適当に完成させた気もしますが…
そして病院での実習や卒業論文が終わると国家試験の対策を行います。臨床検査技師の国家試験は2月にあるので10月や11月くらいから勉強をはじめていきます。4年間の大学生活も国家試験に合格しなければ台無しです。そのため勉強にも熱が入り、みんな真剣で1日に8、9時間程度の勉強を3ヶ月くらい続けました。また国家試験に不合格になってしまうと、内定をもらっている就職も白紙に戻ってしまいます。時にはバイトのような形で次の国家試験まで雇ってもらえる場合もありますが、白紙になってしまうことが多いと思います。このように国家試験の合否が就職に直結するのでみんな真剣なのです。
・日常生活
4年生では夏頃に就職活動を頻繁に行います。僕の場合は遠方の大学に進学し、地元の病院に就職を目指していたので就職試験のたびに地元に帰省しなければならず大変でした。5月、6月くらいに就職試験を行う施設が多く、この頃は月に2回は帰省していたため授業も何回か休みました。みなさんは進学先を選ぶ時に就職するときのことも視野に入れるといいかもしれませんよ。
4年生では実習や就職、卒業論文など大事なことがたくさんありますが。学祭や友達との遊びなどプライベートなことも大学生活では最後の1年になります。悔いの残らないように楽しむことも大事なことだと僕は思います。
今回も僕が国家試験の時に使用した参考書を紹介しておきます。皆さんもよければ使ってみてください。
まとめ
医療系大学の多くは卒業後の進路がある程度決まってしまいます。そのため進学前にしっかりと考えて進学先を選択することが大事です。大学での講義や実習内容は目的とする資格に関連するものしかありません。そのため興味がなかったり、好きではない分野だと4年間の授業がとても大変です。ただ卒業後の進路が病院や検査センターなど医療機関しかないのかというとそうではありませんので、進学して想像と違うと感じても諦めることはありません。例えば一般企業にも就職できますし、医療関連の企業へ就職する道もあります。また、大学講師や研究者として生きていく道もあります。なので入学後にその道が自分には合っていないかもと感じても、そこで少し頑張って自分の道を探せばいいんではないかと思います。
逆に医療系の職業は資格が必要なものがほとんどです。社会人になってから医療関係の仕事をやってみたいなと思っても大学生からスタートしないといけません。本当にしてみたければ大学生から始めればいいんですが、道のりは長いです。そのため将来やってみたいと思っている高校生は思い切って飛び込んでみるのもいいと僕は思います。進学先を迷っている高校生は今回書かせてもらった記事を参考に将来を考えてみてください。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
僕が前回書いた臨床検査技師の就職先を紹介したブログも参考にしてみてください。