ラボの検査教室

病院で臨床検査技師として働くラボが検査結果について解説していきます

PSAの検査値を解説

こんにちはラボです。最近ニュースでは演出家の宮本亜門さんが前立腺がんを患っているということが報道されています。前立腺がんとは男性にのみ存在する前立腺というところにできるがんで、年々日本での患者さんは増加しています。これは食の欧米化や高齢化による影響が大きいとされています。そこで今回は前立腺がんの検出に用いられるPSAという項目について解説していきます。

 

前立腺とは

前立腺は男性の膀胱の下側にあります。女性にはありません。大きさは10~20g程度でクルミ大と表現されます。精液の一部である前立腺液を分泌する機能を持っていますが詳細についてはあまり解明されていません。

 

PSAとは

PSAとは『前立腺特異抗原』の略で前立腺から分泌される蛋白質です。健常者でも血中に少量のPSAが存在していますが、前立腺がんがあるとPSAが血中に大量に分泌されます。また前立腺がんに対して比較的精度が高く、血液検査で行えるので簡単に行えます。

 

基準値

4.0ng/ml 以下

 

f:id:labo-seven7:20190318234953p:plain

 

異常になる原因

前立腺がんや前立腺炎、前立腺肥大症などの前立腺の疾患によって値が上昇します。また前立腺への外部刺激でも上昇します。針による生検や手術、尿道カテーテルなどの治療によっても刺激となり上昇します。さらに射精によっても上昇することがあります。に数値を観察していくことも重要です。

 

*特にPSAが10ng/ml以上の場合には前立腺がんが50%程度の確率で疑われます*

 

異常値になったら

前立腺がんの可能性が高いのでCTやMRIなどの画像診断によってがんかどうかを評価します。そして画像診断によってがんが疑われる場合には前立腺の組織を採取してがんかどうかを診断する生検を行います。また前立腺肥大症でもPSAは上昇するので超音波検査で前立腺が腫大していないかを評価することもあります。

いくつかの原因によりPSAは上昇します。精密検査で異常がなくても1回の値での評価だけでなく、定期的に検査を行い継続的に数値を観察していくことが重要です。

 

 

前立腺がんについて

前立腺にできる悪性腫瘍で、症状は排尿障害や頻尿が現れることが多いです。治療については手術によって前立腺を摘出する手術療法や放射線療法、ホルモン療法などがあります。治療方によっては生殖能力に影響を及ぼす可能性があるので、将来子どもをもつことを希望される方は担当医と相談し治療法を決定しましょう。

 

まとめ

PSAが高値となった場合には前立腺がんが疑われます。前立腺がんは早期発見によって治療が可能です。異常値が認められた場合は早急に泌尿器科を受診してください。

 

今日も読んでいただきありがとうございました。

 


病気がみえる vol.8: 腎・泌尿器