ラボの検査教室

病院で臨床検査技師として働くラボが検査結果について解説していきます

検査技師が解説するeGFRとは?

こんにちはラボです。今回も引き続いて腎臓の機能についての検査項目のeGFRについて書いていきます。

 

eGFR(推定糸球体濾過量)とは

はじめにGFRとは糸球体濾過量のことで、腎臓の中にある糸球体が1分間にどれくらいの血液を濾過できるかを示す値です。GFRを測定するためには前回の記事で記載したクリアランス検査を行う必要があります。一般的にはクレアチニンという物質を使ったクリアランス検査が用いられます。しかし、クレアチニン・クリアランス検査には年齢や性別などによって影響を受けたり、24時間の蓄尿が必要なことから面倒な検査です。そのため血液中のクレアチニン値や年齢、性別から計算によってGFRを推定するeGFR計算式が作成されました。最近では多くの医療機関で腎臓の機能評価に用いられています。

 

異常となる原因

eGFR値から腎臓の障害程度を評価することができます。そのため定期的に測定を行い腎臓の障害程度を確認することで、腎臓病の早期発見に繋げることができます。また腎臓病の状態評価に用いられます。

 

 

評価

・正常(GFR≧90)

腎機能は正常と判断されます。GFRの数値では正常と判断されますが、尿蛋白や血尿などの腎臓に関連する異常が認められる場合は腎臓に異常がある可能性があります。

・軽度低下(90>GFR≧60)

腎機能が軽度の低下を示していますが、腎臓病を疑うほどではありません。GFR≧90の時と同様に尿検査に異常が認められる場合は腎臓病の可能性があります。 

・中等度低下(60>GFR≧45)

腎機能は中等度に低下しています。GFRの値からも腎臓病が疑われますので早期の医療機関受診をお勧めします。専門医からの適切な指導や治療によってさらなる進行を防ぐことが可能です。 

・高度低下(45>GFR≧30)

腎機能は高度の低下を示しています。GFRの値から腎臓病と考えられますので早期の医療機関受診をお勧めします。この段階ではまだ透析や移植の治療は必要ないかと考えられます。しかし、これ以上の悪化を防ぐためには早期の治療が重要です。 

・高度低下(30>GFR≧15)

このくらいの値から腎臓病による症状や合併症が出現している可能性があります。医療機関への受診をされていない方はただちに受診することをお勧めします。担当医による指導や治療を行われている場合は指導をしっかりと守り、治療に専念しましょう。 

・末期腎不全(15>GFR)

透析治療が必要な状態に近いで、専門医による治療が必要です。きちんとした治療を行わないと様々な合併症を起こす可能性が高いので、注意しましょう。

 

このようにGFRの数値によって腎臓の機能が評価されます。GFRは100点満点中何点というような具合で、現在の腎臓機能の点数と考えるとわかりやすいかもしれません。定期的に検査を行い腎機能の評価を行うことで腎臓病の早期発見・早期治療に役立てましょう。

 

まとめ

今回はeGFRについてでした。この値は腎臓の機能をとてもわかりやすく評価できる項目です。健康診断などで血液検査を行った時は気にして見てみてください。現在の腎臓の状態がわかると思います。

eGFRで異常な値が認められた場合は生活習慣の改善や薬などでの治療を早期に行いましょう。BUNの記事にて腎臓病に対しての対策を記載してありますので参考にしてください。

 

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今回も読んでいただきありがとうございます。前回に引き続き腎臓病のことが詳しく書いてある本を紹介しておきますのでよかったら読んで勉強してください。

 


病気がみえる vol.8: 腎・泌尿器