ラボの検査教室

病院で臨床検査技師として働くラボが検査結果について解説していきます

血管伸展性検査ってなに??

こんにちはラボです。病院の生理検査室で働いています。生理検査室では様々な検査を行います。そこで今回は血液データの項目ではなく、僕が日頃行なっている検査の一つである血管伸展性検査について解説して行きます。

 

血管伸展性検査とは

血管伸展性検査とは動脈血管の硬さ(動脈硬化)足の動脈血管のつまり具合を評価する検査です。テレビなどで血管年齢という言葉を見たことがある方もいると思います。血管年齢はこの血管伸展性検査でも算出することができます。そしてこの検査では測定する機械の種類によって測定される項目が少し異なります。これは機械の種類によって計算方法が異なるためです。そこで今回は僕が勤務している病院で測定しているCAVIABIという項目について解説します。

 

CAVI(心臓足首血管指数)

動脈血管の硬さの程度を示す数値です。同じ年齢・性別の健康な方の平均値と比べることで血管年齢を評価しています。心臓から足首まで血液が流れる速度によって血管の硬さを評価します。健常者の場合では動脈硬化が進行していると血液の流れる速度が早くなります。

 

基準値

9.0未満

 

異常値

・9.0以上

9.0以上では動脈硬化が進行していると考えられます。しかし動脈硬化の進行についてはCAVIの数値が9.0未満であっても同じ年齢・性別の健康な方の平均値よりも数値が高い場合には動脈硬化の進行が早いと考えられます。

・8.0未満

8.0未満の場合は足の血管に詰まりが疑われます。足の血管に詰まりがあると足首での血圧が確認できず、正確な測定ができなくなるため値が低く出てしまいます。

 

 

 

ABI(足関節上腕血圧比)

足の動脈の詰まり具合(末梢動脈疾患)の有無や程度を示す数値です。一般的に足の血圧は腕の血圧よりも高いです。しかし足の動脈に詰まりが疑われる場合は足の血圧が低下するため、腕と足の血圧が逆転します。このように両方の手足の血圧を比較することで足の血管の詰まりを評価します。

 

基準値

0.91~1.40

 

異常値

・1.41以上

動脈硬化が進行していると高い数値となります。

・0.90以下

足の動脈の詰まりや狭窄が疑われます。

 

注意点

血管伸展性検査は不整脈があると正確に測定ができません。不整脈が起こると心臓から足首への血液の流れる速度を正確に測定することができないためで参考程度の値しか算出できません。不整脈がある方は事前に検査担当者へ申し出ましょう。

 

検査方法

腕と足首を出しベットに仰向けで寝て、腕と足首に血圧測定用のカフを巻きます。さらに両手に心電図用の電極を装着し、胸に心音測定用のマイクをおきます。機器の装着後は力を抜いてリラックスしてください。測定が始まったら両手足の血圧を二度ほど測定し、値を算出します。およそ10分程度で終了する検査です。

 

まとめ

CAVIの数値が高値の場合は動脈硬化の進行が疑われます。動脈硬化は進行すると心筋梗塞や脳梗塞など血管の病気を引き起こすリスクが高くなります。主治医の指導のもと治療や生活習慣の改善を行い、定期的な検査をお勧めします。

そしてABIが低値を示した場合は足の動脈が詰まっている可能性があり、とても深刻な状態です。足の動脈が詰まっていると足に血液が巡らず、足が壊死してしまいます。この場合は早急な治療が必要ですのでかかりつけ医や循環器内科へ受診し、精密検査を受けましょう。

 

今回は僕が日頃行なっている検査について解説しました。機会があれば健康維持のために血管伸展性検査を受けてみてください。