検査技師が解説するASTとは?
こんにちはラボです。病院で臨床検査技師として働いています。病院で働いていると重症だなと感じてしまう患者さんが結構います。それは健康診断などで検査の異常値を指摘されているにも関わらず、症状が出現するまで医療機関を受診せず、発見が遅れてしまっているのです。なので僕の書いている記事で少しでも医療機関への受診を考える機会になってくれると嬉しいです。
では今回はASTという項目について書いていきます。
ASTとは
アスパラギン酸トランスフェラーゼの略でGOTという名前で検査値が記載されていることもあります。ASTの働きは体内にある蛋白質からアミノ酸を作る酵素の一つです。心臓や体を動かすための筋肉、肝臓、脳などに多く含まれており、それらの臓器に何かしらの障害が起こると血液中に出てきます。そしてASTは筋肉や脳に比べて肝臓に多く含まれているため、肝臓の機能の検査項目として健康診断等でも測定されています。
基準値
10~35IU/I
生理的変動
*食事や運動など日常生活の中で値が変動すること*
・激しい運動
筋肉にも含まれているため激しい運動により筋肉組織が壊れると値が上昇します。
・薬
薬の影響により肝臓に負担がかかると肝臓の組織が壊され値が上昇します。
・アルコールや肥満
アルコールや肥満により肝臓に負担がかかると肝臓の組織が壊され値が上昇します。
異常値となる原因
基準値よりも上昇する原因
肝炎や肝癌など肝臓の病気、胆石や胆嚢癌など胆道系の病気、心筋梗塞など心臓の病気、多発性筋炎や筋ジストロフィーなど筋肉の病気などASTが含まれている組織に障害が起こるとASTが上昇する。中でもASTは肝臓に多く含まれていすため肝臓の病気の時には鋭敏な値の変化が起こります。
異常値になったら
肝臓の機能を評価する検査項目はASTだけではないので他の肝臓系の血液項目(ALTや肝炎ウイルス、腫瘍マーカー等)を行い、それらの検査項目と合わせて総合的に判断をおこないます。また、超音波検査やCT検査等の画像診断にて各臓器に異常がないかを診断します。そして検査数値の上昇の程度によって疾患が限定されることがあります。そのため値が上昇していた場合は医療機関を受診し、専門医に診断してもらいましょう。
まとめ
ASTに異常値が認められた場合、まずは肝臓に障害があることが考えられます。肝癌や肝炎ウイルスなどを早期に発見でき、治療につなげることができます。異常があった場合は放置せずに医療機関を受診することをお勧めします。
今回は僕が勉強のために読んでいる本を紹介します。とてもわかりやすい本ですので皆さんも良かったら読んでみてください。