ラボの検査教室

病院で臨床検査技師として働くラボが検査結果について解説していきます

採血ではこんなことに注意!!

こんにちはラボです。今回は血液検査項目から少し離れて、採血について解説していこうと思います。採血は医師、看護師、臨床検査技師が行うことができます。総合病院では臨床検査技師が採血している病院も増えてきており、看護師が行っている印象があると思いますが臨床検査技師も活躍しています。

そんな採血ですが何度も採血されたり、たくさんの血が採られたりと疑問に思うことも多いかと思います。また、あまり知られていないかもしれませんが採血にも合併症があります。このような疑問や注意点を皆さんに解説していきたいと思います。

 

採血の注意点

・採血のしやすさ

血管は人によって通っている場所や太さ、硬さ、深さなどが違うので見てみるまで、または刺してみるまで採血がしやすいかどうかはわからないのです。さらに血圧が低い方だと血管に針が入っていても血液が上手く採れてこないということもあります。そのためベテランの方でも失敗することがあります。

またその日の患者さんの体調によっても採血のしやすさは変わるので、いつも上手に採血されてる方でも失敗してしまうこともあります。何度も刺されるのは痛いし嫌だとは思いますが、採血している人にはできれば寛容な心で接してください。

 

・アルコール

採血の際は針を刺す部分から菌が侵入しないようにアルコールで消毒します。しかし、人によってはアルコールに過敏な反応を示し、肌が痒くなったり、腫れたりする方がいらっしゃいます。そのような方にはアルコール成分が含まれていない消毒綿がありますので、採血前に申告すれば変更してくれます。どこの病院でも準備はあるはずですので、気軽に申し出てみてください。

 

・採血時に手を握る理由

採血の時に手を握るのは血管をより見やすくなるためのものです。ギュッと握ることで手から血を押し戻し血管を拡張させます。採血の時はしっかりと握りましょう。

 

 

採血後

採血後は採血部にアルコール綿を当てて親指等で5分ほど強く圧迫してください。採血後はすぐに血が止まるわけではありませんので、圧迫によって止血を行います。人によっては止血が十分でないと青あざができてしまったり、再出血してしまったりすることがあるので注意しましょう。

 

   

採血の合併症

たかが採血と思われるかもしれませんが、針を刺しますので合併症を伴う可能性があります

 

・皮下出血

採血後に十分な止血が行われないと血が止まらずに皮下出血が起こります。採血の圧迫は十分に行いましょう。

 

・止血困難

血液をサラサラにする薬を内服されている方や出血しやすい病気の方は血が止まりにくいです。採血前に申し出ましょう。

 

・神経損傷

よく採血が行われる印象のある肘の部分の血管の近くには手の神経が通っています。採血の針によって神経を損傷させてしまう可能性がわずかですがあります。そのため神経を損傷させていないか採血時には手や指先に痺れがないか聞かれます。少しでも症状がある場合はすぐに申し出ましょう。そしてしびれは数週間で改善することもありますが、改善しないこともありますので、いつまでも痺れが改善しない場合は病院に相談しましょう。

 

・迷走神経反射

人によっては採血の時の緊張から神経が興奮し、それに伴い血圧が低下します。それによってめまいや気分不良、意識消失を起こす可能性があります。そのような方は座っての採血が危険ですので、横になって採血します。今までにそのような経験がある方は事前に申し出ましょう。

 

よく聞かれる質問

・採血量がたくさん必要な理由

採血は検査項目によって必要な量が決まっています。また採取した血液を入れる採血管の数も検査項目によって違います。採血管の中には血が固まらないようにするための抗凝固剤が入っています。採血菅の違いはその抗凝固剤の違いで、検査項目によって適している抗凝固剤が違うのでいくつかの採血菅が必要となります。よって検査項目が多ければその分たくさんの量の血液を採取しなければなれないのです。たくさんの量を採血するのは大変だとは思いますが、必要なことですのでご理解ください。

 

まとめ

採血は痛いので嫌だと思う方が多いと思います。しかし、検査を行うためには必要なことですのでご理解ください。また採血にはいくつかの合併症を起こす可能性があります。採血時に採血部分や手に違和感があった場合は気兼ねなく担当者に申し出ましょう。