ラボの検査教室

病院で臨床検査技師として働くラボが検査結果について解説していきます

尿毒症ってなに??

こんにちはラボです。最近は腎臓の機能に関連する血液検査項目についていくつか紹介してきました。そこで今回は腎臓の機能が悪化した時に発症する尿毒症という疾患について紹介していきたいと思います。

 

尿毒症とは

体内で代謝によって作られる老廃物には物質よっては毒性のものが存在します。体内で作られる老廃物は腎臓で濾過され、尿として排泄されます。しかし腎臓病によって腎臓の濾過機能が10%以下くらいになると老廃物が体外に排泄できなくなってしまいます。そして毒性のある老廃物が体内に蓄積すると尿毒症になり、全身に様々な症状が起こります。さらに尿毒症が深刻化すると命に関わる事態となりますので早期に治療を行いましょう。

 

 

 

症状について

尿毒症の初期症状は疲れやすい、体がだるいなどがあります。さらに体のむくみ、呼吸困難、食欲不振など様々な症状が現れてきますので、体の部位別にまとめてみたいと思います。

 

・脳:意識障害、不眠、頭痛

・目:視力低下

・口:口臭、味覚障害、歯茎からの出血

・心臓:動機、高血圧、心不全

・肺:咳、胸水、肺水腫

・血液:貧血

・消化管:食欲不振、下痢、吐き気、潰瘍

・皮膚:むくみ、皮下出血、かゆみ

・神経:感覚異常

・骨:低カルシウム血症、骨病変

 

治療

尿毒症は主に腎臓病が悪化し、ほとんど腎臓が機能しなくなることで起こります。今回は腎臓病が悪化した状態である腎不全の治療法を少し紹介していきます。

 

・血液透析

近年では主流とされる腎不全治療です。透析の機械を使って腎臓の代わりに血液中から老廃物を濾過します。しかし透析治療は1回に4~5時間を要し、週に2~3回必要であり、そのたびに病院へと通院しなければなりません。そのため患者さんにとってはかなり負担の重い治療です。そして透析治療は怠ると尿毒症となってしまうので他の治療を行わない限り通院・治療を休むことはできません。

 

・腹膜透析

体の中に腹膜透析用の液体を5~6時間溜めておきます。そして溜めた液体と血液の間で老廃物の交換を行い、5~6時間後に老廃物の溜まった透析液を体外に排出します。この操作を1日に3~5回行います。1日に行う回数は多いように感じるかもしれませんが、透析液を交換する操作以外は自由に生活することができるので、自分の生活リズムに合わせて治療が行えます。

 

・腎移植

機能しなくなった自分の腎臓の代わりに、健康な腎臓を移植する治療法です。移植した腎臓が機能してくれるので、透析とは違い処置や通院などは必要ではありません。ただ移植した腎臓を体に定着させる為に服薬は必要となります。 

 

 

 

まとめ

尿毒症は腎臓の機能が10%程度に低下した状態になった時に起こる疾患です。また尿毒症は症状が多岐にわたり、重症になれば命に関わります。そして治療も日常生活にとって大きな制限となってしまいます。そのため尿毒症にならないために健康診断や人間ドックを受けられた際は腎臓の検査数値をしっかりと確認しましょう。また軽度でも腎臓の障害が起こっている場合は医師の指示に従って治療を行い、腎臓の障害が進行しないようにしましょう。

 


病気がみえる vol.8: 腎・泌尿器

 

今回も読んでいただきありがとうございました。