ラボの検査教室

病院で臨床検査技師として働くラボが検査結果について解説していきます

総蛋白(TP)の検査値を解説

こんばんはラボです。今日はついに実際の検査について解説していきます。

今回は血液で行われる検査のことについて解説していきます。みなさんも健康診断や病院を受診した時などに血液検査のデータを見たことはありませんか?そこにはたくさんの検査データが記載されていたかと思います。

その中でも今回は総蛋白(TP)と呼ばれる検査項目について解説していきます。

 

総蛋白(TP)とは?

総蛋白とは血液中に存在する蛋白質のことを表します。血液中の蛋白質は食べ物から摂取した蛋白質が消化管で消化され、吸収されます。そして最終的に体の一部になったり、体を守る免疫機能として関与したり、ホルモンとして人間の働きに関与したりしています。

血液中の蛋白質は100種類以上ありますが、血液検査で測定される蛋白は大きく分けてアルブミンとグロブリンに分類されます。主にアルブミンは血液中の水分を一定に保つ働きをしており、グロブリンは体を守るための免疫機能の働きに関与しています。

 

 

基準値

6.7~8.3g /dl 

*基準値は各施設によって違う場合があります*

 

 

異常値となる原因

基準値よりも上昇する原因

・感染症

感染症にかかると体は感染症を治そうとして免疫機能の働きが活発になります。すると蛋白質の一種であり、免疫機能に関与するグロブリンが過剰に生成されるので血液中の総蛋白は上昇します。

 

・悪性腫瘍や多発性骨髄腫など

悪性腫瘍や多発性骨髄腫などの疾患ではそれらの腫瘍から特殊なグロブリンが生成されるため総蛋白の値は上昇します。

 

・脱水

血液中の水分が少なくなることで相対的に総蛋白は上昇します。基準値の項目にも書いてあるように総蛋白は血液中の濃度で表されています。そのため血液中の水分が少なくなると総蛋白の濃度が高くなるので総蛋白の値は上昇します。しかし、この場合は総蛋白自体の量が増えたわけではないので、水分の補給など脱水の原因を改善してあげれば総蛋白の値は正常に戻っていきます。

 

基準値よりも低下する原因

・肝臓の障害

体内の蛋白のいくつかの種類は肝臓で作られます。そのため肝硬変や肝障害など肝臓の障害が生じると蛋白の生成が少なくなり、体内の総蛋白が低下します。

 

・腎臓の障害

腎臓では血液中の不要な物質がろ過され、体外に排出されます。しかし、体内に必要な蛋白は基本的に腎臓で濾過されず、血液中に保持されます。ただネフローゼ症候群や腎炎など腎臓に障害が起こると腎臓の濾過機能が上手く働かず、血液中の蛋白が体外に排出されてしまいます。それにより体内の総蛋白の値が低下します。

 

・栄養不足

体内の蛋白は摂取した食べ物から作られます。そのため栄養不足になると体内での蛋白生成が低下し、血液中の総蛋白の値も低くなります。

 

・消化管の障害

栄養不足でも体内の蛋白生成は低下しますが、十分な栄養分を摂取していても消化管から吸収されなければ意味がありません。そのため消化管の異常により、栄養分の吸収が障害されると体内の栄養分が不足し、蛋白の生成が低下します。

 

 

 

 

異常値になったら

総蛋白の値は食生活によって変動する値です。基準値を外れた場合でもその原因が必ずしも病気であるとは言ませんので、あまり不安になることありません。しかし、何かの病気が原因である可能性もあるので、初めて異常値がでた方は一度医療機関への受診をお勧めします。

 

そして総蛋白が異常値になる原因は肝臓や腎臓にあることがあります。肝臓や腎臓に持病がある方は主治医に相談し、異常値の原因が持病によるものなのか、他に原因があるのかを診断してもらってください。

 

医療機関を受診する場合は大きな総合病院もしくは内科を受診しましょう。また、医療機関への受診の際は、今回異常となった検査数値のデータをお持ちのうえ受診することをお勧めします。

 

まとめ

総蛋白は様々な原因によって値が異常となります。そのため自分で原因を判断するのは困難です。初めて異常値を指摘された方は医療機関を受診しましょう。

 

今回は初めて検査結果についての記事を投稿させていただきました。このような感じでこれからも色々な検査項目について書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。