ラボの検査教室

病院で臨床検査技師として働くラボが検査結果について解説していきます

検査技師が解説する白血球数とは?

こんばんはラボです。ついに新年度がやってきました。僕の病院にも新入職員がやってきました。毎年この期間は新人がたどたどしく仕事をしているので『頑張れ』と思いながら見守っています。皆さんも新人さんには優しく接してくださいね。

さて今回は白血球数についてです。今回も僕のブログで少しでも知識を身につけていただけたら嬉しいです。

 

白血球数とは

白血球とは体内の免疫機能に関与しており、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を消化分解したりして除去する働きがあります。免疫機能に関与する白血球ですが、好中球、リンパ球、好酸球、好塩基球、単球と5種類の血球の総称です。この5種類の血球は機能が違いますが、今回は白血球の数について詳しく書いて行きます。

 

基準値

4000~9000/μl

*個人差や日内変動が大きいため基準値の範囲は結構広くなっています*

 

生理変動

白血球は朝方に低く、夕方になるにつれ上昇してきます。さらに激しい運動後やストレス、喫煙などによっても上昇がみられます。

 

 

異常となる原因

基準値よりも上昇する原因

・炎症

肺炎や虫垂炎など急性感染症の時には好中球やリンパ球が細菌やウイルスを除去しようとして免疫機能が活性化するため、白血球数が上昇します。炎症での上昇は風邪などの軽い疾患でも上昇し、怪我や手術後などの外傷でも上昇します。

 

・アレルギー

体内でアレルギー反応が起こると白血球が活性化し数値が上昇します。

 

・血液疾患

白血病などの血液の病気でも上昇します。白血病とは血液のがんで、白血球ががん化することで発症します。白血病ではかなり高い値となることが多く、数倍から10倍ほど数値が上昇します。

白血病は血液内の白血球を顕微鏡で観察することで診断します。そしてさらに精密な検査として骨髄を採取して、骨髄内の血球を顕微鏡で観察する検査もあり、これによって白血病の種類を判断します。白血病はいくつかの種類に分けられ、種類によって生存率や治療スケジュールが異なるため白血病の種類を判断することは重要です。

 

基準値よりも低下する原因

・貧血

再生不良性貧血、悪性貧血など血球を造る機能に異常があると白血球数が低下します。

 

・血液疾患

白血病の種類の中には白血球数が減少するものもあります。

 

・抗がん剤治療

がんの治療で抗ガン剤を使用している方は抗ガン剤によって血球が破壊され低値を示します。

 

まとめ

白血球数が上昇している場合はCRPと同様に体内で炎症が起こっている可能性が高いので、病院を受診し原因を突き止める必要があります。また感染症ではなく白血病などの血液疾患の場合でも早期治療が望ましいので、できるだけ早く病院を受診することが重要です。

また低下している場合では免疫機能が低下している状態であり、感染症にかかりやすくなっています。そのため早期の原因究明や治療が望まれます。そして白血球数が回復するまでは、感染症にかかりやすいのでマスクや手洗い、うがいなどの感染症予防を心がけるようにしましょう。

 

今回も白血球のことが学べる本を紹介します。皆さんも良かったら読んでみてください。 


病気がみえる vol.5: 血液

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。