ラボの検査教室

病院で臨床検査技師として働くラボが検査結果について解説していきます

検査技師が解説するAST/ALT比とは?

こんにちはラボです。今日は午後から休みだったので昼からの投稿です。

今回は前回と前々回で解説させてもらったASTとALTの関係に注目したいと思います。

ASTとALTの値が上昇している時には、どのような割合で上昇しているかが診断には重要となります。そのため検査項目にASTとALTの比率を記載している施設もあります。今回はASTとALTの比率のことを解説していきます。

 

AST/ALT比とは

ASTとALTの比率つまりどちらがより高度に上昇しているかを知ることで上昇の原因がどこにあるかを推測することができます。

 

AST/ALT比の値

ASTが優位に上昇する場合  (AST/ALT>0.9)

・肝疾患

肝硬変など末期の肝疾患や肝癌など正常の肝組織が減少している肝疾患ではALTが多く含まれている正常な肝臓の細胞が減少しているため、AST/ALT比ではASTが優位になります。

 

・アルコール性の肝障害

アルコールによってALTの合成が阻害されてしまい肝臓に障害があってもALTの上昇が軽度なため、AST/ALT比はASTが優位となります。

 

・心臓や筋肉の障害

心筋梗塞や骨格筋障害など筋肉の組織にはASTが多く含まれているため、AST/ALT比はASTが優位となります。

 

ALTが優位に上昇する場合  (AST/ALT<0.9)

・肝臓の障害

慢性肝障害や胆道系疾患では肝臓に特異的に含まれているALTが高度に上昇するため、AST/ALT比はALTが優位となります。

 

まとめ

肝機能検査の数値であるASTとALTは単独での異常値も病気の診断には重要なことですが、比率からどこが原因なのかを判断することも重要です。そして肝障害はウイルスやアルコールなどが原因となり、長期化することも多い疾患です。継時的に血液検査の変化を観察し、地道に治療していくことが大切です。

また、肝臓の病気は肝硬変や肝癌など死に至る病気も多いです。早めに医療機関を受診し、上昇の原因を診断してもらってください。

 

今回は少し短い内容でしたがASTやALTは肝臓の機能を評価するためにはとても重要な数値です。皆さんもご自身の検査結果を一度確認してみてくださいね。

 

検査技師が解説するALTとは?

こんばんはラボです。昨日は東日本大震災から8年目の日でした。僕たち医療関係者は震災が起きた時に何ができるのかを常々考えています。過去の震災を参考に予行演習を行い、将来震災が起きた時には最速で最善の医療を皆さんに提供できたらなと思います。

 

それでは今回は前回のASTと関連の強いALTという項目について解説していきます。


 

ALTとは

アラニンアミノトランスフェラーゼの略で、GPTという名前で検査値が記載されていることもあります。そして前回解説したASTと同様で体内ので作用する酵素の一つです。しかし、ASTとは違い肝臓に多く含まれ、肝臓に障害があると血液中に漏出してきます。ALTもAST同様に肝機能検査の項目として健康診断等で測定されます。

 

基準値

5~40IU/I

 

生理的変動

飲酒や過食により肝臓に負担がかかり肝臓の組織が障害され上昇します

 

 

 異常値となる原因

基準値よりも上昇する原因

肝炎や肝癌など肝臓の病気、胆石や胆嚢癌など胆道系の病気などで肝臓の組織に障害が起こると上昇します。

*ASTと比べて肝臓障害に対して特異的に上昇します*

 

異常値になったら

ALTは肝臓に障害が起きた時に上昇します。過度な飲酒や暴飲暴食は肝臓に負担をかけるためALTの上昇の原因となりますので注意しましょう。さらに医療機関を受診し、他の血液検査や超音波検査、CT検査などで肝臓に病気がないかどうかを検査してください。

 

まとめ

今回は肝臓の異常を評価するALTという項目について解説しました。血液検査の結果ASTとALTが共に上昇しているときは肝臓に何らかの障害が起きている可能性が高いです。放置せずに医療機関を受診してください。 

 


病気がみえる 〈vol.1〉 消化器

 

検査技師が解説するASTとは?

こんにちはラボです。病院で臨床検査技師として働いています。病院で働いていると重症だなと感じてしまう患者さんが結構います。それは健康診断などで検査の異常値を指摘されているにも関わらず、症状が出現するまで医療機関を受診せず、発見が遅れてしまっているのです。なので僕の書いている記事で少しでも医療機関への受診を考える機会になってくれると嬉しいです。

 

では今回はASTという項目について書いていきます。

 

ASTとは

アスパラギン酸トランスフェラーゼの略でGOTという名前で検査値が記載されていることもあります。ASTの働きは体内にある蛋白質からアミノ酸を作る酵素の一つです。心臓や体を動かすための筋肉、肝臓、脳などに多く含まれており、それらの臓器に何かしらの障害が起こると血液中に出てきます。そしてASTは筋肉や脳に比べて肝臓に多く含まれているため、肝臓の機能の検査項目として健康診断等でも測定されています。

 

基準値

10~35IU/I

  

生理的変動

*食事や運動など日常生活の中で値が変動すること*

・激しい運動

筋肉にも含まれているため激しい運動により筋肉組織が壊れると値が上昇します。

 

・薬

薬の影響により肝臓に負担がかかると肝臓の組織が壊され値が上昇します。

 

・アルコールや肥満

アルコールや肥満により肝臓に負担がかかると肝臓の組織が壊され値が上昇します。

 

異常値となる原因

基準値よりも上昇する原因

肝炎や肝癌など肝臓の病気、胆石や胆嚢癌など胆道系の病気、心筋梗塞など心臓の病気、多発性筋炎や筋ジストロフィーなど筋肉の病気などASTが含まれている組織に障害が起こるとASTが上昇する。中でもASTは肝臓に多く含まれていすため肝臓の病気の時には鋭敏な値の変化が起こります。

 

異常値になったら

肝臓の機能を評価する検査項目はASTだけではないので他の肝臓系の血液項目(ALTや肝炎ウイルス、腫瘍マーカー等)を行い、それらの検査項目と合わせて総合的に判断をおこないます。また、超音波検査やCT検査等の画像診断にて各臓器に異常がないかを診断します。そして検査数値の上昇の程度によって疾患が限定されることがあります。そのため値が上昇していた場合は医療機関を受診し、専門医に診断してもらいましょう。

 

まとめ

ASTに異常値が認められた場合、まずは肝臓に障害があることが考えられます。肝癌や肝炎ウイルスなどを早期に発見でき、治療につなげることができます。異常があった場合は放置せずに医療機関を受診することをお勧めします。 

今回は僕が勉強のために読んでいる本を紹介します。とてもわかりやすい本ですので皆さんも良かったら読んでみてください。


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採血ではこんなことに注意!!

こんにちはラボです。今回は血液検査項目から少し離れて、採血について解説していこうと思います。採血は医師、看護師、臨床検査技師が行うことができます。総合病院では臨床検査技師が採血している病院も増えてきており、看護師が行っている印象があると思いますが臨床検査技師も活躍しています。

そんな採血ですが何度も採血されたり、たくさんの血が採られたりと疑問に思うことも多いかと思います。また、あまり知られていないかもしれませんが採血にも合併症があります。このような疑問や注意点を皆さんに解説していきたいと思います。

 

採血の注意点

・採血のしやすさ

血管は人によって通っている場所や太さ、硬さ、深さなどが違うので見てみるまで、または刺してみるまで採血がしやすいかどうかはわからないのです。さらに血圧が低い方だと血管に針が入っていても血液が上手く採れてこないということもあります。そのためベテランの方でも失敗することがあります。

またその日の患者さんの体調によっても採血のしやすさは変わるので、いつも上手に採血されてる方でも失敗してしまうこともあります。何度も刺されるのは痛いし嫌だとは思いますが、採血している人にはできれば寛容な心で接してください。

 

・アルコール

採血の際は針を刺す部分から菌が侵入しないようにアルコールで消毒します。しかし、人によってはアルコールに過敏な反応を示し、肌が痒くなったり、腫れたりする方がいらっしゃいます。そのような方にはアルコール成分が含まれていない消毒綿がありますので、採血前に申告すれば変更してくれます。どこの病院でも準備はあるはずですので、気軽に申し出てみてください。

 

・採血時に手を握る理由

採血の時に手を握るのは血管をより見やすくなるためのものです。ギュッと握ることで手から血を押し戻し血管を拡張させます。採血の時はしっかりと握りましょう。

 

 

採血後

採血後は採血部にアルコール綿を当てて親指等で5分ほど強く圧迫してください。採血後はすぐに血が止まるわけではありませんので、圧迫によって止血を行います。人によっては止血が十分でないと青あざができてしまったり、再出血してしまったりすることがあるので注意しましょう。

 

   

採血の合併症

たかが採血と思われるかもしれませんが、針を刺しますので合併症を伴う可能性があります

 

・皮下出血

採血後に十分な止血が行われないと血が止まらずに皮下出血が起こります。採血の圧迫は十分に行いましょう。

 

・止血困難

血液をサラサラにする薬を内服されている方や出血しやすい病気の方は血が止まりにくいです。採血前に申し出ましょう。

 

・神経損傷

よく採血が行われる印象のある肘の部分の血管の近くには手の神経が通っています。採血の針によって神経を損傷させてしまう可能性がわずかですがあります。そのため神経を損傷させていないか採血時には手や指先に痺れがないか聞かれます。少しでも症状がある場合はすぐに申し出ましょう。そしてしびれは数週間で改善することもありますが、改善しないこともありますので、いつまでも痺れが改善しない場合は病院に相談しましょう。

 

・迷走神経反射

人によっては採血の時の緊張から神経が興奮し、それに伴い血圧が低下します。それによってめまいや気分不良、意識消失を起こす可能性があります。そのような方は座っての採血が危険ですので、横になって採血します。今までにそのような経験がある方は事前に申し出ましょう。

 

よく聞かれる質問

・採血量がたくさん必要な理由

採血は検査項目によって必要な量が決まっています。また採取した血液を入れる採血管の数も検査項目によって違います。採血管の中には血が固まらないようにするための抗凝固剤が入っています。採血菅の違いはその抗凝固剤の違いで、検査項目によって適している抗凝固剤が違うのでいくつかの採血菅が必要となります。よって検査項目が多ければその分たくさんの量の血液を採取しなければなれないのです。たくさんの量を採血するのは大変だとは思いますが、必要なことですのでご理解ください。

 

まとめ

採血は痛いので嫌だと思う方が多いと思います。しかし、検査を行うためには必要なことですのでご理解ください。また採血にはいくつかの合併症を起こす可能性があります。採血時に採血部分や手に違和感があった場合は気兼ねなく担当者に申し出ましょう。

  

 

検査技師が解説するA/G比とは?

こんばんはラボです。今日は残業のためこんな遅くの投稿となってしまいました。僕の病院では睡眠時無呼吸症候群の検査を行っています。この検査は患者さんが眠っている間に測定を行うため、眠る前に検査の準備を行わなければなりません。そのため準備を行う時間まで残って仕事をします。いつか睡眠時無呼吸症候群の検査についても記事にしたいと思いますので待っていてください。

 

さて今日は前回のアルブミンと関連した検査項目で、A/G比という項目を解説します。

 

 

A/G比とは

血液中の蛋白質はアルブミンが約67%、グロブリンが約33%の割合となっています。その他の種類の蛋白質もありますが、ほとんどはこの二種類です。そして、この比率でアルブミンが多いのか少ないのかを判断することができ、そこから病気の診断や病気の状態の評価をすることができます。

しかし、このA/G比は病院などでもらう測定結果に記載がない場合があります。ただ総蛋白とアルブミンの検査結果が記載されていれば計算で知ることができますので、なければ計算してみましょう。

 

*計算式:A/G比=アルブミン/(総蛋白-アルブミン)

 

基準値

1.1~2.1

*基準値は各施設によって違う場合があります*

 

異常値となる原因

基準値よりも上昇する原因

・グロブリンが作られない病気(無グロブリン血症など)

グロブリンとは体を守るための抗体の抗生物質です。そのためグロブリンの量が少ないと体の免疫機能が弱くなってしまうので、早く治療を行いましょう。無グロブリン血症や原発性免疫不全症候群などの病気で起こります。

 

基準値よりも低下する原因

・アルブミンが低下した場合

*アルブミンの記事にて記載*

www.labo-seven.com

 

・グロブリンが増加した場合

*総蛋白の記事にて記載* 

www.labo-seven.com

 

異常値になったら

総蛋白やアルブミンの値に異常値がみられた場合はそれぞれの値を単独で判断するのではなく、いくつかの項目を総合的に判断し、異常値となる原因を診断します。そのため一種類の検査項目が異常値だからと不安にならずに、医療機関を受診し総合的に診断をしてもらいましょう。

 

まとめ

A/G比はこの項目だけでは大きな意味はありませんので、総蛋白やアルブミンの値と合わせて総合的に判断しましょう。

今回はこれで終了です。まだまだブログ初心者ですので難しい言葉を使ってしまっているかもしれませんが、読んでいただけると役に立つこともあるのではないかと思います。それでは次回もよろしくお願いします。

 

  

アルブミン(Alb)の検査値を解説

こんばんはラボです。病院で臨床検査技師として働いています。

臨床検査技師には様々な検査の分野があり、それぞれに専門の資格があります。この資格は各分野の検査について高度な内容の試験に合格すると得られます。僕は超音波検査の分野の資格を持っています。今後はこの知識を生かして超音波検査についても何か書いてみたいです。

 

さて今回も採血検査の項目について解説していきます。今回はその中でもアルブミンという項目についてです。アルブミンは前回の総蛋白と関係の深い検査項目であり、前回の記事と合わせて読んでいただくと良いかと思います。

 

www.labo-seven.com

 

 

アルブミンとは?

アルブミンは蛋白の一種で体内の蛋白の約6割を占める蛋白で、肝臓で作られています。

アルブミンの機能は血液中の栄養や老廃物の運搬、体内の水分の調整などがあります。

そして血液検査の値は栄養状態の指標となり、約3週間程度の栄養状態を評価できます。

 

基準値

3.8~5.3g /dl 

*基準値は各施設によって違う場合があります*

 

異常値となる原因

基準値よりも上昇する原因

脱水

前回の総蛋白と同様に血液中の水分が少なくなることで相対的に値が上昇します。

 

基準値よりも低下する原因

・肝臓の障害

アルブミンは肝臓で作られます。そのため病気によって肝臓に障害が起きると蛋白の生成が少なくなり、体内のアルブミン値が低下します。

 

・腎臓の障害

血液中の物質は腎臓にて濾過され、尿として体外へと排出されます。基本的にアルブミンは腎臓で濾過されず、血液中に保持されます。しかし、腎臓に障害が起こると腎臓の濾過がうまく機能せず、アルブミンが体外に排出されてしまいます。それにより体内のアルブミン値が低下します

 

・甲状腺機能亢進症

甲状腺の機能が亢進し過剰にホルモンが分泌されるとアルブミンが低下します。

ホルモンは血液中ではアルブミンとくっついて存在しています。ホルモンの量が増えると多くのアルブミンがホルモンとくっついてしまうため、アルブミン単体で存在する量が低下します。

 

・栄養不足

体内のアルブミンは摂取した食べ物から作らます。そのため栄養不足になると体内でのアルブミンの生成が低下し、血液中のアルブミン値も低くなります。

 

・炎症

体のどこかで炎症が起こると炎症部分周辺でアルブミンの消費が亢進します。それにより血液中のアルブミンが低下します。

 

 

 

異常値になったら

アルブミンの値は栄養状態の指標として用いられることがあります。他の検査項目に異常がなく、アルブミンが低下している場合は食生活の乱れや栄養不足が疑われますので、食生活の改善につとめましょう。

 

また、風邪や怪我など体に炎症が起きている場合も異常値となりますので、採血を行った時にこれらの心当たりがある場合は再検査を受けることをお勧めします。

 

そして異常値となる原因に心当たりがない場合は放置せずに医療機関に受診しましょう。

 

まとめ

アルブミンの検査項目は重大な病気と関連している可能性が低いです。日頃の栄養状態の評価と考えておきましょう。しかし、持病がある方の場合は持病の悪化や合併症の発症などが疑われますので、主治医に相談しましょう。

 

今回も拙い文章でしたが最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

総蛋白(TP)の検査値を解説

こんばんはラボです。今日はついに実際の検査について解説していきます。

今回は血液で行われる検査のことについて解説していきます。みなさんも健康診断や病院を受診した時などに血液検査のデータを見たことはありませんか?そこにはたくさんの検査データが記載されていたかと思います。

その中でも今回は総蛋白(TP)と呼ばれる検査項目について解説していきます。

 

総蛋白(TP)とは?

総蛋白とは血液中に存在する蛋白質のことを表します。血液中の蛋白質は食べ物から摂取した蛋白質が消化管で消化され、吸収されます。そして最終的に体の一部になったり、体を守る免疫機能として関与したり、ホルモンとして人間の働きに関与したりしています。

血液中の蛋白質は100種類以上ありますが、血液検査で測定される蛋白は大きく分けてアルブミンとグロブリンに分類されます。主にアルブミンは血液中の水分を一定に保つ働きをしており、グロブリンは体を守るための免疫機能の働きに関与しています。

 

 

基準値

6.7~8.3g /dl 

*基準値は各施設によって違う場合があります*

 

 

異常値となる原因

基準値よりも上昇する原因

・感染症

感染症にかかると体は感染症を治そうとして免疫機能の働きが活発になります。すると蛋白質の一種であり、免疫機能に関与するグロブリンが過剰に生成されるので血液中の総蛋白は上昇します。

 

・悪性腫瘍や多発性骨髄腫など

悪性腫瘍や多発性骨髄腫などの疾患ではそれらの腫瘍から特殊なグロブリンが生成されるため総蛋白の値は上昇します。

 

・脱水

血液中の水分が少なくなることで相対的に総蛋白は上昇します。基準値の項目にも書いてあるように総蛋白は血液中の濃度で表されています。そのため血液中の水分が少なくなると総蛋白の濃度が高くなるので総蛋白の値は上昇します。しかし、この場合は総蛋白自体の量が増えたわけではないので、水分の補給など脱水の原因を改善してあげれば総蛋白の値は正常に戻っていきます。

 

基準値よりも低下する原因

・肝臓の障害

体内の蛋白のいくつかの種類は肝臓で作られます。そのため肝硬変や肝障害など肝臓の障害が生じると蛋白の生成が少なくなり、体内の総蛋白が低下します。

 

・腎臓の障害

腎臓では血液中の不要な物質がろ過され、体外に排出されます。しかし、体内に必要な蛋白は基本的に腎臓で濾過されず、血液中に保持されます。ただネフローゼ症候群や腎炎など腎臓に障害が起こると腎臓の濾過機能が上手く働かず、血液中の蛋白が体外に排出されてしまいます。それにより体内の総蛋白の値が低下します。

 

・栄養不足

体内の蛋白は摂取した食べ物から作られます。そのため栄養不足になると体内での蛋白生成が低下し、血液中の総蛋白の値も低くなります。

 

・消化管の障害

栄養不足でも体内の蛋白生成は低下しますが、十分な栄養分を摂取していても消化管から吸収されなければ意味がありません。そのため消化管の異常により、栄養分の吸収が障害されると体内の栄養分が不足し、蛋白の生成が低下します。

 

 

 

 

異常値になったら

総蛋白の値は食生活によって変動する値です。基準値を外れた場合でもその原因が必ずしも病気であるとは言ませんので、あまり不安になることありません。しかし、何かの病気が原因である可能性もあるので、初めて異常値がでた方は一度医療機関への受診をお勧めします。

 

そして総蛋白が異常値になる原因は肝臓や腎臓にあることがあります。肝臓や腎臓に持病がある方は主治医に相談し、異常値の原因が持病によるものなのか、他に原因があるのかを診断してもらってください。

 

医療機関を受診する場合は大きな総合病院もしくは内科を受診しましょう。また、医療機関への受診の際は、今回異常となった検査数値のデータをお持ちのうえ受診することをお勧めします。

 

まとめ

総蛋白は様々な原因によって値が異常となります。そのため自分で原因を判断するのは困難です。初めて異常値を指摘された方は医療機関を受診しましょう。

 

今回は初めて検査結果についての記事を投稿させていただきました。このような感じでこれからも色々な検査項目について書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

  

臨床検査技師になりたい人へ

こんばんはラボです。病院で臨床検査技師として働いています。

ブログ投稿2回目です。今回は将来、臨床検査技師になってみたいなと思っている学生さんに向けて、臨床検査技師になるためにはどうすればいいのか。臨床検査技師はどのような現場で働いているのかを簡単に書いていこうと思います。

 

臨床検査技師になるためには

臨床検査技師になるには高校を卒業してください。

その後は三つの選択肢があります。

  • 4年制大学
  • 3年制短期大学
  • 3年制専門学校

どこに進学しても学ぶ内容は同じですが、学習にかける時間や実習などのカリキュラムに違いがあります。これは大学によっても違いますので、大学の特色やカリキュラムの内容などを調べてから進学することをお勧めします。また、これは個人の意見ではありますが、国公立大学と私立大学でも少し違うように感じます。それは就職や国家試験に対するフォローにあります。やはり私立大学は就職率や国家試験合格率を上げるためにしっかりした対策がなされているように感じます。

 

そして大学や専門学校卒業が決まると国家試験が待ち受けています。近年の臨床検査技師の国家試験の合格率は80%程度を推移しています。そのため学校の指導の元しっかりと勉強すれば合格できます。僕は3ヶ月くらいかけて国家試験の対策をしました。国家試験に合格して晴れて臨床検査技師となります。

また最終学年の時には就職活動があります。就職活動は基本的に国家試験に合格する前提で行います。そのため万が一国家試験に不合格になってしまうと就職も一緒になくなってしまいます。そのため国家試験は人生を左右する試験でもあります。

 

 

臨床検査技師はどこで働いているのでしょう

臨床検査技師は意外と様々なところで働いています。今回は簡単な内容と一緒にいくつかの職場を紹介して行きます。

 

・病院

第一に候補となりやすい就職先が病院です。病院では医師が患者さんに対して診断を行うために必要な様々な検査を行います。病院での検査は数多くの分野があり、就職後に各分野に配属されます。基本的には希望ではなく、空きがある分野への配属となります。

 

・健診センター

病院の次に就職の候補にあがりやすいのが健診センターです。健診センターは健康診断や人間ドックを専門に行う施設です。病気の予防や早期発見・早期治療などの予防医学が普及した近年では健康診断や人間ドックを受ける人は増えています。

 

・臨床検査センター

小さな病院やクリニックでは検査機器を導入して様々な検査を行うことは金銭的に困難です。臨床検査センターはそんな医療機関から血液や尿などの検体を預かって検査を請け負う施設です。

 

・ 献血関連施設

病院での治療の一つに輸血があります。この輸血に使われる血液は献血によってまかなわれています。献血によって得られた血液は善意によるものですが、献血してくれた人が必ずしも健康であるとは限りません。そのため献血で得られた血液に対して検査を行い、異常がないかを調べています。

 

・研究室(大学)

大学の研究室では臨床検査技師となるために学んだ知識や技術を活かして、医療分野での基礎研究や臨床研究の技術員として活躍しています。

 

・研究室(企業)

製薬メーカーや医療機器メーカーの研究所において、基礎研究や臨床研究、技術開発の技術員として活躍しています 。

 

・ 不妊治療(エンブリオロジスト.胚培養士)

近年の晩婚化に伴って不妊治療を行う方が増えてきています。その不妊治療に欠かせないのが人工授精であり、その作業を任されるのがエンブリオロジストや胚培養士と呼ばれる技術者です。これらの資格は臨床検査技師として就職後、さらなる学習を重ねて資格試験を受けることで得られます。

 

・治験コーディネーター

薬などの治験を行う際に主治医は薬の量や飲むタイミングを決めたり、患者に対する基本的な説明は行います。その際に医師と患者の間を取り持つのが治験コーディネーターです。患者さんから薬を服用し始めてからの様子や服薬状況をなどを確認したり、検査データをまとめて医師および製薬メーカーに報告するといった仕事を受け持ちます。

 

まとめ

臨床検査技師になるためには大学進学の際に将来を見据えて決定しなければいけません。しかし医療の世界に興味がある場合は恐れずに挑戦してみてください。臨床検査技師も様々なところで活躍してるので、資格を取ったうえで職場を考えて見ても良いと僕は思います。

 

ブログ始めました!!

はじめましてラボです。病院で臨床検査技師として働いています。

臨床検査技師として一般の方にも臨床検査技師や検査のことを知って欲しいと思い、初めてブログというものに挑戦しました。つたない文章かと思いますが、検査の内容や検査値について書いていこうかと思っています。

 

みなさんは臨床検査技師という職業をご存知ですか?

病院の中でもほとんど表舞台に出てこない影の存在ですので、一般の方には縁のない職業です。僕も初対面の人に臨床検査技師として働いていますと自己紹介しても、何ですかそれはという表情をされてしまいます。だから最近は病院で働いていますと省いてしまいます。

 

臨床検査技師とは

臨床検査技師とは「厚生労働大臣の免許を受けて、臨床検査技師の名称を用いて、医師又は歯科医師の指示の下に、人体から排出され、又は採取された検体の検査として厚生労働省令で定めるもの及び厚生労働省令で定める生理学的検査を行うことを業とする者」と法律で定義されています。

法律では長々と定義されていますが、とても簡単に説明すると病院や保健所、健診センターでの検査に携わる職業です。

 

臨床検査技師は必要なのか?

臨床検査技師はなぜ病院に必要なのでしょう。法律では病院で行われる検査は医師や看護師にも行えます。しかし規模の大きな総合病院では基本的に臨床検査技師が検査を行っています。

これは医療の進歩により専門性が細分化したことに関係します。医師は医療の進歩に伴って覚えきれないほど膨大な知識が必要とされています。そのため臨床検査技師や放射線技師など専門知識を持った職業の人が医師の診察の手助けをするようになりました。その中でも検査に特化した知識を持つ資格が臨床検査技師です。そのため近年の病院には臨床検査技師が必要とされています。

 

また近年では病気の予防や早期発見・早期治療、再発防止のための定期検査といった予防医学が広く認知され、健康診断や人間ドックが大きく普及しました。このような場でも臨床検査技師は活躍しています。

 

 

 

検査は必要なのか?

病院の診療に検査は必要なのでしょうか。

医師は診断を行うために、患者さんの様々な情報を必要とします。この情報の中には患者さんの現状を把握するための問診や胸やお腹の音を聞く聴診、患部を触って判断する触診など医師が直接するものがあります。しかし、それ以外に臨床検査技師や放射線技師が行う検査もたくさんあります。この検査には血液検査や尿検査、レントゲン検査、心電図検査など様々なものがあり、患者さんの詳細な情報を得ることができるので、医師の行う診断には必要なのです。

 

まとめ

今回はブログをはじめるにあたり僕の職業である臨床検査技師について書かせていただきました。臨床検査技師は病院や保健所などで検査に携わる職業です。近年は医療の進歩に伴ってこのような医師の補佐をするような職業が重要となってきています。

 

これからこのブログでは一般の方に向けて検査の注意事項や検査項目の説明などを書いたり、臨床検査技師になりたい人に向けて臨床検査技師についての情報を書いて行こうと思います。これからラボをよろしくお願いします。