臨床検査技師になるための大学生活体験談 〜パート①〜
こんにちはラボです。病院で臨床検査技師として働いています。臨床検査技師の資格は大学を卒業し、国家試験に合格することで得られる資格です。今回は検査のデータから離れて、臨床検査技師になりたいと思っている学生さんに向けて、僕がどのような大学生活を送っていたかを紹介したいと思います。
大学について
僕は4年制の医療系大学に通っていました。大学の費用は国公立大学で250~300万、私立大学で500~600万、専門学校や短大で300~400万程度かかります。
そしてそれぞれの大学によって学ぶ内容やスケジュールに多少の差があります。4年制の大学では数学や英語などの一般教養科目がいくつかあります。しかし3年制の短大や専門学校では4年間で学ぶ内容を3年間で学ばなければならないため一般教養科目が少なく、また専門科目や実習のスケジュールも忙しいものとなっています。しかし3年制の学校は忙しい中でも専門的な知識を学ぶためにより実践的な学習ができるメリットがあります。
さらに就職する病院や企業によっては初任給に違いがある場合もあります。このように大学によって内容に多少の差はありますが、就職して臨床検査技師として働き始めると大学の違いによる差は全くありません。そのため就職してからどれだけ意欲的に学習を重ねることができるかが臨床検査技師には重要になります。
次に臨床検査技師の大学全般に言えることですが、基本的に女性の割合が多いと思います。多くても男女が半々くらいの比率なのではないでしょうか。これは病院や検査センターに就職してからも同様に女性の多い職場が多いと思います。これは心電図や乳腺エコーなど女性が行った方が問題の少ない検査が多少ですがあることが要因ではないでしょうか。
ここまで大学のことについて書いてきました。ここからは僕が通っていた4年制の国公立大学での体験談を書いていきたいと思います。
大学1年生
・授業
大学ではどの講義を受講するかを選択することがあります。1年生では数学や英語などの一般教養科目がほとんどでした。そして一般教養科目では必ず受けなければならない必修科目とどの科目を受けるかを選択できる選択科目があるので、どの科目を受けるかを選択します。この選択の仕方によっては授業のない日を作ることも可能でした。1年生では検査に関する専門的な科目はほとんどないので、高校生活の延長のような感覚でした。
・大学生活
一般教養科目が多く、授業スケジュールにも余裕があるのでバイトや遊びの時間もたくさんありました。またサークル活動も充実しており、高校生活ではできない体験もたくさんできました。
大学2年生
・授業
2年生では少しずつ検査に関する専門科目が増えてきます。専門的な科目は基本的に必修科目ですので、授業のスケジュール選択にも制限が増えてきます。しかし、専門科目が増えたことで医療に関わっている実感がわき、一般教養科目よりも学習意欲が増していきました。そして2年生では学内での実習が少しありました。実習は理科の実験のような雰囲気で検査の原理を実験を通して学ぶものでした。僕は座学よりも実習の方が断然やる気がありました。
・大学生活
日常生活では後輩ができますので、後輩に色々と教えてあげることが増えます。1年間で経験したことを後輩に伝えていきましょう。そして1番大きなことは成人になるということです。20歳になることでお酒が飲めるようになります。今までは先輩と飲み会に行ってもお酒を飲むことはできませんでしたが、ついに一緒に飲むことができます。ハメを外し過ぎないように注意しましょう。
さて今回はここまでにしておきます。最後に僕が国家試験を受ける際に使用した参考書を紹介しておきます。勉強方法などはまたの機会に紹介したいと思います。では次回は3年生と4年生の時の体験を書いていきませすので、次回もよければ読んでみてください。
尿毒症ってなに??
こんにちはラボです。最近は腎臓の機能に関連する血液検査項目についていくつか紹介してきました。そこで今回は腎臓の機能が悪化した時に発症する尿毒症という疾患について紹介していきたいと思います。
尿毒症とは
体内で代謝によって作られる老廃物には物質よっては毒性のものが存在します。体内で作られる老廃物は腎臓で濾過され、尿として排泄されます。しかし腎臓病によって腎臓の濾過機能が10%以下くらいになると老廃物が体外に排泄できなくなってしまいます。そして毒性のある老廃物が体内に蓄積すると尿毒症になり、全身に様々な症状が起こります。さらに尿毒症が深刻化すると命に関わる事態となりますので早期に治療を行いましょう。
症状について
尿毒症の初期症状は疲れやすい、体がだるいなどがあります。さらに体のむくみ、呼吸困難、食欲不振など様々な症状が現れてきますので、体の部位別にまとめてみたいと思います。
・脳:意識障害、不眠、頭痛
・目:視力低下
・口:口臭、味覚障害、歯茎からの出血
・心臓:動機、高血圧、心不全
・肺:咳、胸水、肺水腫
・血液:貧血
・消化管:食欲不振、下痢、吐き気、潰瘍
・皮膚:むくみ、皮下出血、かゆみ
・神経:感覚異常
・骨:低カルシウム血症、骨病変
治療
尿毒症は主に腎臓病が悪化し、ほとんど腎臓が機能しなくなることで起こります。今回は腎臓病が悪化した状態である腎不全の治療法を少し紹介していきます。
・血液透析
近年では主流とされる腎不全治療です。透析の機械を使って腎臓の代わりに血液中から老廃物を濾過します。しかし透析治療は1回に4~5時間を要し、週に2~3回必要であり、そのたびに病院へと通院しなければなりません。そのため患者さんにとってはかなり負担の重い治療です。そして透析治療は怠ると尿毒症となってしまうので他の治療を行わない限り通院・治療を休むことはできません。
・腹膜透析
体の中に腹膜透析用の液体を5~6時間溜めておきます。そして溜めた液体と血液の間で老廃物の交換を行い、5~6時間後に老廃物の溜まった透析液を体外に排出します。この操作を1日に3~5回行います。1日に行う回数は多いように感じるかもしれませんが、透析液を交換する操作以外は自由に生活することができるので、自分の生活リズムに合わせて治療が行えます。
・腎移植
機能しなくなった自分の腎臓の代わりに、健康な腎臓を移植する治療法です。移植した腎臓が機能してくれるので、透析とは違い処置や通院などは必要ではありません。ただ移植した腎臓を体に定着させる為に服薬は必要となります。
まとめ
尿毒症は腎臓の機能が10%程度に低下した状態になった時に起こる疾患です。また尿毒症は症状が多岐にわたり、重症になれば命に関わります。そして治療も日常生活にとって大きな制限となってしまいます。そのため尿毒症にならないために健康診断や人間ドックを受けられた際は腎臓の検査数値をしっかりと確認しましょう。また軽度でも腎臓の障害が起こっている場合は医師の指示に従って治療を行い、腎臓の障害が進行しないようにしましょう。
今回も読んでいただきありがとうございました。
検査技師が解説するeGFRとは?
こんにちはラボです。今回も引き続いて腎臓の機能についての検査項目のeGFRについて書いていきます。
eGFR(推定糸球体濾過量)とは
はじめにGFRとは糸球体濾過量のことで、腎臓の中にある糸球体が1分間にどれくらいの血液を濾過できるかを示す値です。GFRを測定するためには前回の記事で記載したクリアランス検査を行う必要があります。一般的にはクレアチニンという物質を使ったクリアランス検査が用いられます。しかし、クレアチニン・クリアランス検査には年齢や性別などによって影響を受けたり、24時間の蓄尿が必要なことから面倒な検査です。そのため血液中のクレアチニン値や年齢、性別から計算によってGFRを推定するeGFR計算式が作成されました。最近では多くの医療機関で腎臓の機能評価に用いられています。
異常となる原因
eGFR値から腎臓の障害程度を評価することができます。そのため定期的に測定を行い腎臓の障害程度を確認することで、腎臓病の早期発見に繋げることができます。また腎臓病の状態評価に用いられます。
評価
・正常(GFR≧90)
腎機能は正常と判断されます。GFRの数値では正常と判断されますが、尿蛋白や血尿などの腎臓に関連する異常が認められる場合は腎臓に異常がある可能性があります。
・軽度低下(90>GFR≧60)
腎機能が軽度の低下を示していますが、腎臓病を疑うほどではありません。GFR≧90の時と同様に尿検査に異常が認められる場合は腎臓病の可能性があります。
・中等度低下(60>GFR≧45)
腎機能は中等度に低下しています。GFRの値からも腎臓病が疑われますので早期の医療機関受診をお勧めします。専門医からの適切な指導や治療によってさらなる進行を防ぐことが可能です。
・高度低下(45>GFR≧30)
腎機能は高度の低下を示しています。GFRの値から腎臓病と考えられますので早期の医療機関受診をお勧めします。この段階ではまだ透析や移植の治療は必要ないかと考えられます。しかし、これ以上の悪化を防ぐためには早期の治療が重要です。
・高度低下(30>GFR≧15)
このくらいの値から腎臓病による症状や合併症が出現している可能性があります。医療機関への受診をされていない方はただちに受診することをお勧めします。担当医による指導や治療を行われている場合は指導をしっかりと守り、治療に専念しましょう。
・末期腎不全(15>GFR)
透析治療が必要な状態に近いで、専門医による治療が必要です。きちんとした治療を行わないと様々な合併症を起こす可能性が高いので、注意しましょう。
このようにGFRの数値によって腎臓の機能が評価されます。GFRは100点満点中何点というような具合で、現在の腎臓機能の点数と考えるとわかりやすいかもしれません。定期的に検査を行い腎機能の評価を行うことで腎臓病の早期発見・早期治療に役立てましょう。
まとめ
今回はeGFRについてでした。この値は腎臓の機能をとてもわかりやすく評価できる項目です。健康診断などで血液検査を行った時は気にして見てみてください。現在の腎臓の状態がわかると思います。
eGFRで異常な値が認められた場合は生活習慣の改善や薬などでの治療を早期に行いましょう。BUNの記事にて腎臓病に対しての対策を記載してありますので参考にしてください。
今回も読んでいただきありがとうございます。前回に引き続き腎臓病のことが詳しく書いてある本を紹介しておきますのでよかったら読んで勉強してください。
検査技師が解説するクレアチニン・クリアランスとは?
こんばんはラボです。最近はだんだんと暖かくなってきましたね。新年度が始まると歓迎会などで飲み会が増えるためなのか、急性アルコール中毒で搬送されてくる方が増加します。皆さんは健康のためにも飲み過ぎには気をつけましょう。
今回は前回のクレアチニンに関連してクレアチニン・クリアランスという項目について解説していきます。
クレアチニン・クリアランスとは
はじめにクリアランスとは特定の尿中排泄物が1分間に何mlの血液から濾過されたかを示す指標です。この値が低いほど腎臓の濾過機能が低下していると言えます。クレアチニンは筋肉量や性差によって数値に個人差があるので、クレアチニン・クリアランスを用いてそれらの生理的変動の影響をなるべく除外することでより腎機能を評価しやすくなります。特に軽度の腎機能悪化を鋭敏に捉えることができます。
基準値
80~180ml / min
異常となる原因
腎機能が障害された場合には濾過機能が低下し値が低下します。
検査方法
一般的には24時間尿を溜めて、その溜めた尿中にどれくらいのクレアチニンが排出されているかを測定します。それと同時に血中のクレアチニンを測定し、二つのクレアチニンの値を元に計算によって値を出します。つまりこの検査では尿と血液を採取しなければなりません。計算方法はとても難しいので割愛させてもらいます。
まとめ
腎臓の障害が疑われた場合はどのくらい腎機能が低下しているのかを知るために精密な検査が必要となります。前回解説してように腎臓の細胞を採取して直接細胞を観察する精密な検査があります。しかし針を刺したり、お腹を切り開いたりする必要があるため、まずは採血や採尿などによっておよその状態を把握する必要があります。その時に行うのがクレアチニン・クリアランスです。腎臓の機能は回復することが難しいので、悪化してから医療機関を受診しても遅い場合があります。そのため定期的に健康診断などでチェックすることがとても重要です。
今回は腎臓についての検査項目を書いて行きました。そこで今回は腎臓の機能が悪くなっていないかのセルフチェック方法を記載しますので、皆さんも確認して見てください。
・おしっこの色が変だと感じませんか
・おしっこが泡だったりしませんか
(排尿後少し時間が経っても泡が消えない)
・むくみが気になりませんか
・顔色が悪いと言われませんか
・夜間に何度もトイレに行きませんか
*あくまで簡易的なチェック方法です*
今回はクレアチニン・クリアランスについて解説させてもらいました。今回は腎臓や尿についても病気がよくわかる本を紹介させていただきます。皆さん良ければチェックして見てください。
検査技師が解説するクレアチニン(Cre)とは?
こんにちはラボです。前回の記事は腎臓に関連する血液検査項目である尿素窒素(BUN)でした。そこで今回も腎臓に関連してクレアチニン(Cre)という項目について解説していきます。
クレアチニン(Cre)とは
体内で筋肉がエネルギーを消費して働くと、使われたエネルギーが代謝されクレアチニンができます。クレアチニンは体内には不要なものなので腎臓で濾過され尿として排出されます。腎臓は様々な老廃物を尿として体外へと排出しますが、尿の中には体内に必要なものも含まれています。そのため尿に含まれている物質の一部は腎臓で濾過された後、尿細管という部分で体内に再度吸収されます。しかし、クレアチニンはほとんど尿細管で再吸収されず、尿として体外へ排出されます。そのため腎臓のろ過機能を正確に評価することができます。
基準値
男:0.6~1.1mg /dl
女:0.4~0.7mg /dl
*筋肉量の違いにより男性の方が高値となります
生理変動
激しい運動後は値が上昇します。これは運動により筋肉でエネルギーが消費されるためです。
異常となる原因
基準値よりも上昇する原因
・腎臓疾患
腎臓の機能が障害されるとクレアチニンが体外へ排出されず、血中濃度が上昇します。
基準値よりも低下する原因
・寝たきりなど体が不自由な方
体を動かせない方では筋肉が萎縮するため低値となる可能性があります。また筋肉を使う機会が少ないのでクレアチニンの値は低くなります。
・手足を切断した方
手や足などを切断した場合にはその分の筋肉が体からなくなることになりますので、低値となります。
異常になったら
クレアチニンが異常値となった場合はBUNやクレアチニン・クリアランスなど他の検査項目と総合的に判断し、腎臓が原因で異常値になっているのかを評価します。そして総合判断の結果、腎臓に障害が起きていると判断された場合には腎臓の細胞を顕微鏡で直接観察し、腎臓の状態を評価する検査が行われることがあります。この検査は腎臓に針を刺し、腎臓の細胞を採取してくることで行います。この検査によってどのような病気が原因で腎臓に障害が起きているのかが診断でき、治療につなげることができます。
腎臓の病気の時にはBUNの記事で解説させてもらったように蛋白制限や食塩制限、生活習慣の改善などの治療が有効となります。解説に関しては前回のBUNの記事を参考にしてください。
まとめ
クレアチニンは筋肉の活動で産生されるため、血液中の濃度は筋肉量に依存し、個人差が大きい値です。しかし食事量に影響されず、上記したように腎臓での再吸収もほとんどされません。そのため筋肉量が大きく変化しない限りは採血のタイミングにかかわらず、ある程度一定の数値となります。このような特徴から一回の測定結果から値の良い悪いを判断するのではなく、定期的に測定しその変化によって値の評価をすることが望ましい検査項目です。
しかし、クレアチニンは腎臓の濾過機能が60%程度低下しないと値に変化が起きないので、軽度の腎障害の評価には向きません。そのため軽度の腎障害は他の腎機能を評価する血液データと合わせて、総合的に判断すると良いでしょう。
今回はクレアチニンという腎臓の機能を評価する血液データを解説しました。次回はクレアチニンに関連する検査項目であるクレアチニン・クリアランスについて解説したいと思いますので、ぜひ次回も読んでください。
検査技師が解説する尿素窒素(BUN)とは?
こんにちはラボです。最近やっとインフルエンザの流行が治まってきましたね。僕が働いている病院でも1月と2月は患者さんが多く、かなり流行しているなと感じていました。また入院している患者さんへ感染しないように面会へ来られる方への注意喚起がなされていました。インフルエンザは重症化すると危険な病気ですので、皆さんもしっかりと対策をしましょう。
今回の検査項目ですがインフルエンザとは全く関係ありません。今回はBUNという項目について解説していきます。
尿素窒素(BUN)とは
体内で様々な役割をはたす蛋白質は代謝されると二酸化炭素とアンモニアになります。そしてアンモニアは毒性が強いため肝臓にて分解され、尿素になり腎臓から排出されます。この尿素を測定する際の血液検査項目がBUNです。尿素は腎臓から排出されるため腎臓の機能が落ちると血中の尿素つまりBUNの値が上昇します。そのためBUNは腎臓の機能評価に用いられます。
基準値
8~20mg /dl
異常となる原因
基準値よりも上昇する原因
・腎前性 腎臓に障害はないがBUNの値が高くなってしまう原因
・蛋白質の過剰摂取
尿素は蛋白質の代謝物であるため蛋白質を過剰に摂取するとBUNが高値となることがあります。
・消化管出血
消化管出血では消化管内に血液が漏れ出てしまいます。それによって血中のアンモニア濃度が上昇し、その結果BUNの値が上昇します。
・筋肉の障害
筋肉の障害によって筋肉に含まれる蛋白質が壊されると血中に蛋白質が漏出し、血中の尿素の濃度が上昇します。
・腎性 腎臓の障害によりBUNの濃度が上昇する原因
・腎臓の疾患
腎不全や急性腎炎などによって腎臓のろ過機能が低下すると尿素が排出されず、血中の尿素の濃度が上昇します。腎性のBUN濃度の上昇は他の原因と比べて高い値になる傾向にあります。
・腎後性 尿路に障害が起こることでBUNが高値となる原因
・尿管の障害
尿路結石や尿路腫瘍などによって排尿が障害されると、尿として排出されるはずの尿素が血中に戻ってしまい血中の尿素濃度が上昇します。
基準値よりも低下する原因
・肝臓の障害
肝硬変や肝炎など肝臓の障害によってアンモニアが代謝されないと尿素が作られず低値となります。この場合は体内にアンモニアが溜まってしまうので、血中のアンモニア濃度が上昇します。
・腎臓の障害
尿崩症のように尿量が多くなる病気では尿素が過剰に排出され、BUNが低値となります。
・妊娠
妊娠中では胎児が蛋白質を消費するので代謝物である尿素も低値となります。
異常値になったら
腎臓に障害が現れた場合は食事や生活習慣による対策が重要です。
・蛋白質制限
ここまで記載してきたように蛋白質は体内で分解され尿素となり、腎臓から排泄されていきます。そのため蛋白質の摂取を制限し、尿素の量を減らすことで腎臓に負担をかけないようにできます。
・塩分制限
塩分が多い食事を続けていると血圧が上昇していきます。そして高血圧は腎臓に負担をかけてしまいますので、塩分制限および血圧コントロールをして腎臓への負担を減らす必要があります。
・生活習慣
喫煙や飲酒、運動不足などを改善することにより腎臓への負担を減らすことができます。また睡眠不足や過労などのストレスを減らすことも重要です。
蛋白制限や塩分制限などの食生活の改善はとても大変なことです。しかし改善しなければ病気が悪化してしまいます。なので時には他人の手を借りるということも必要だと思います。今回は腎臓病や糖尿病の方への宅食を紹介しておきますので、食生活の改善に苦労している方は一度見て見てください。
まとめ
BUNの値は腎臓の機能に大きく関係します。BUNが高値の場合は腎臓の障害が疑われますので医療機関を受診しましょう。またBUNの値が低いの場合もアンモニアが分解されずに血中にたまっている可能性がありますので注意が必要です。アンモニアの血中濃度が上昇すると脳に障害が現れて危険な状態になる可能性があります。
腎臓の障害が進行すると透析治療が必要となります。透析治療はとても大変な治療ですので、透析が必要な段階まで進行してしまう前に薬や食事、生活習慣の改善による治療をしっかりと行いましょう。
血管伸展性検査ってなに??
こんにちはラボです。病院の生理検査室で働いています。生理検査室では様々な検査を行います。そこで今回は血液データの項目ではなく、僕が日頃行なっている検査の一つである血管伸展性検査について解説して行きます。
血管伸展性検査とは
血管伸展性検査とは動脈血管の硬さ(動脈硬化)や足の動脈血管のつまり具合を評価する検査です。テレビなどで血管年齢という言葉を見たことがある方もいると思います。血管年齢はこの血管伸展性検査でも算出することができます。そしてこの検査では測定する機械の種類によって測定される項目が少し異なります。これは機械の種類によって計算方法が異なるためです。そこで今回は僕が勤務している病院で測定しているCAVIとABIという項目について解説します。
CAVI(心臓足首血管指数)
動脈血管の硬さの程度を示す数値です。同じ年齢・性別の健康な方の平均値と比べることで血管年齢を評価しています。心臓から足首まで血液が流れる速度によって血管の硬さを評価します。健常者の場合では動脈硬化が進行していると血液の流れる速度が早くなります。
基準値
9.0未満
異常値
・9.0以上
9.0以上では動脈硬化が進行していると考えられます。しかし動脈硬化の進行についてはCAVIの数値が9.0未満であっても同じ年齢・性別の健康な方の平均値よりも数値が高い場合には動脈硬化の進行が早いと考えられます。
・8.0未満
8.0未満の場合は足の血管に詰まりが疑われます。足の血管に詰まりがあると足首での血圧が確認できず、正確な測定ができなくなるため値が低く出てしまいます。
ABI(足関節上腕血圧比)
足の動脈の詰まり具合(末梢動脈疾患)の有無や程度を示す数値です。一般的に足の血圧は腕の血圧よりも高いです。しかし足の動脈に詰まりが疑われる場合は足の血圧が低下するため、腕と足の血圧が逆転します。このように両方の手足の血圧を比較することで足の血管の詰まりを評価します。
基準値
0.91~1.40
異常値
・1.41以上
動脈硬化が進行していると高い数値となります。
・0.90以下
足の動脈の詰まりや狭窄が疑われます。
注意点
血管伸展性検査は不整脈があると正確に測定ができません。不整脈が起こると心臓から足首への血液の流れる速度を正確に測定することができないためで参考程度の値しか算出できません。不整脈がある方は事前に検査担当者へ申し出ましょう。
検査方法
腕と足首を出しベットに仰向けで寝て、腕と足首に血圧測定用のカフを巻きます。さらに両手に心電図用の電極を装着し、胸に心音測定用のマイクをおきます。機器の装着後は力を抜いてリラックスしてください。測定が始まったら両手足の血圧を二度ほど測定し、値を算出します。およそ10分程度で終了する検査です。
まとめ
CAVIの数値が高値の場合は動脈硬化の進行が疑われます。動脈硬化は進行すると心筋梗塞や脳梗塞など血管の病気を引き起こすリスクが高くなります。主治医の指導のもと治療や生活習慣の改善を行い、定期的な検査をお勧めします。
そしてABIが低値を示した場合は足の動脈が詰まっている可能性があり、とても深刻な状態です。足の動脈が詰まっていると足に血液が巡らず、足が壊死してしまいます。この場合は早急な治療が必要ですのでかかりつけ医や循環器内科へ受診し、精密検査を受けましょう。
今回は僕が日頃行なっている検査について解説しました。機会があれば健康維持のために血管伸展性検査を受けてみてください。
検査技師が解説する尿酸とは?
こんにちはラボです。皆さんは痛風という病気をご存知ですか。痛風は風が吹くだけでも痛いといわれるほど痛みが足や関節に出る病気です。その痛風の原因とされるのが尿酸という成分の結晶です。今回は痛風の原因とされる尿酸について解説していきます。
尿酸(UA)とは
尿酸値は痛風の原因として有名な値です。尿酸とは細胞の成分でもあるプリン体が分解されてできる老廃物です。その尿酸の濃度が血液中で高くなると足の付け根などに尿酸の結晶が溜まり痛風になります。また尿酸は腎臓にも沈着することがあり、腎臓結石の原因となります。腎臓結石も痛風と同様に激痛を伴います。
基準値
男性:3.7~7.0mg /dl
女性:2.5~7.0mg /dl
生理変動
激しい運動により一時的に上昇します。
上昇の原因
・遺伝
遺伝的な原因によって先天的に尿酸値が高くなります
・食生活
痛風は贅沢病とも言われ、原因となるプリン体は肉類、特に動物の内臓に多いです。摂りすぎには注意しましょう。
・飲酒
アルコール(特にビール)にはプリン体が多く含まれており、そのプリン体が分解されることで尿酸値が上昇します。飲み過ぎは注意です。
・ストレス
ストレスでも尿酸値が上昇します
・脱水
脱水になると血液中では相対的に尿酸値が上昇してしまいます。
・腎障害
尿酸は多くが腎臓から尿として排出されます。そのため腎臓の濾過機能が低下すると尿酸がうまく排出できなくなり、体内に蓄積されてしまいます。
・薬剤
薬剤の中には尿酸値を上昇させてしまうものもあります。しかし、薬は尿酸値が上昇してしまうからといってやめていいものではないので、担当医と相談し気をつけて使用してください。
対策
・食生活
プリン体は肉類(特に内臓)や干物に多いため、その食材を摂りすぎないようにしましょう。さらに海藻類や野菜は尿酸値を下げる効果があるとされています。尿酸はアルカリ性の尿によく溶ける性質があるので、海藻類や野菜を摂取し尿をアルカリ性にすることで排出の効率を良くします。また、尿をよく出し、血中の濃度を下げるためにも水分を良く摂りましょう。一日2リットル以上が推奨されています。
・飲酒
アルコール特にビールには多く含まれているので飲酒は控えましょう。焼酎やウイスキーはプリン体が少ないですが、たくさん飲んでしまうと結局プリン体がたくさん体内に入ってしまいますので注意が必要です。
・運動
無酸素運動は尿酸値を上昇させてしまいます。運動は有酸素運動を心がけましょう。無酸素運動とは筋トレや短距離走など激しい運動で、有酸素運動とは水泳やジョギングなど比較的負荷の少ない運動のことです。無酸素運動は尿酸値を上昇させてしまいますが、運動をしないのは健康に良くないので運動のやり方に注意しましょう。どのような運動が良いかわからない場合は担当医に相談しましょう。
まとめ
尿酸は痛風や腎結石の原因としてよく知られています。痛風や腎結石は激痛を起こす病気ですので出来ればかかりたくない病気ですよね。そのため健康診断などで尿酸値が高い場合は早めの対処を心がけましょう。尿酸値は食生活や飲酒、運動など生活習慣の改善により対処ができますので、今回の記事を少しでも参考にしていただければと思います。
検査技師が解説するALPとは?
こんにちはラボです。僕は趣味としてフットサルをしています。フットサルはストレス発散にも繋がり仕事にも良い影響を与えています。仕事を始めると自由な時間が少なくなりますが、趣味を持つことは大事です。
では今回は肝臓や胆道系に関連するALPという項目について書きます。
ALPとは
アルカリホスファターゼの略で体内に存在する酵素です。肝臓や小腸、腎臓、骨などの臓器に存在しています。これらの臓器に障害が起こるとALPの値が上昇します。
基準値
115~359IU/l
生理変動
骨が形成される子どもや妊婦さんでは健常者でも高値となります。これは骨が形成される際に骨に存在するALPが血液中に漏れ出るため上昇します。
異常となる原因
肝臓や胆道、小腸、骨の疾患で上昇します。なかでも胆道や骨に多く存在しているため、閉塞性胆道疾患や骨疾患の時に高度な上昇を示します。
異常になったら
ALP値が高いときはまず肝臓や胆道の疾患が疑われるので、まず腹痛や黄疸などの症状が出現していないか確認してください。そして症状がある場合は医療機関を受診し、病気がないか診断してもらいましょう。
またLDと同様にALPもアイソザイムが存在しますので、参考にアイソザイムのことについても書いていきます。
ALPアイソザイムとは
ALPは構成によって6種類のアイソザイムが存在します。種類によって存在する組織が違うため、どの種類が増加しているかによって原因臓器を判断することができます。また健常者や特定の血液型の方には存在しないアイソザイムもあります。
*アイソザイム:同じ機能を持っているが、構造が異なる酵素
基準値
正常の血液中には2型と3型の2種類が存在します。また血液型がO型およびB型の方では5型も存在します。
1型:0
2型:36~74
3型:25~59
4型:0
5型:0~16
6型:0 (%)
*成人では2型と3型が同じくらいですが小児では3型が高いです*
上昇するアイソザイムの種類と原因
1型:閉塞性黄疸や転移性肝癌などにより胆管が閉塞すると血液中に出現します。
2型:肝型。肝炎や肝内胆汁うっ滞など肝臓や胆道系に異常があれば上昇します。
3型:骨型。癌の骨への転移や骨粗鬆症など骨に何らかの異常があれば上昇します。また子どもの場合は骨の成長によっても上昇します。
4型:胎盤型。妊娠後期に出現します。稀に悪性腫瘍の患者さんにも出現します。
5型:小腸型。B型およびO型の人の血中に存在し、肝硬変や腎不全によってさらに高値となります。
6型:潰瘍性大腸炎という大腸の病気にて出現します。
まとめ
ALPが上昇している場合は他の血液検査の項目と合わせて原因の診断を行います。アイソザイムは精密な検査が必要な患者さんに行われる検査であり、絶対に必要な検査ではありません。他の肝機能に関連する血液検査項目によって病気が推測できる可能性も高いので、検査を行うかは担当医に任せましょう。
今回も少し難しい内容だったと思いますが読んでいただきありがとうございました。
検査技師が解説するLDとは?
こんにちはラボです。僕の勤務する病院では臨床検査技師も当直業務があります。救急車で運ばれてくる患者さんの検査や入院患者さんが急変した際の検査などを24時間担当します。夜通し働くのはとても大変ですが、急を要する患者さんへの診療を行うためには重要な仕事ですので頑張っています。
それでは今回はLDという血液項目です。
LDとは
LDとは乳酸脱水素酵素の略で糖の分解に関与する酵素の一種です。体内のほとんどの細胞に存在していますが、特に赤血球や肝臓、筋肉に多く含まれています。体内での炎症や各組織が障害された場合に上昇します。多くの細胞に存在するため体内の異常を知るにはとても良い指標です。しかし、炎症や障害がどこで起きているのかは判別しづらいといえます。
基準値
120~245 IU/l
生理変動
LDは赤血球中に多く含まれています。そのため採血の時に血球に刺激を与えてしまい赤血球が壊れると赤血球中のLDが血液中に放出されてしまいます。このような血液では体内にLD値上昇の原因がなくても検査結果が高値となってしまいます。
異常となる原因
LDは様々な細胞に存在しているので、多くの病気によって値は上昇します。しかし、LDは各臓器の細胞によって含まれている量が違い、中でも肝臓や血球、筋肉に多く含まれています。
そのため肝炎や肝癌など肝臓の病気や溶血性貧血や白血病など血液の病気、心筋梗塞など筋肉の病気によって上昇しやすいです。
異常になったら
LDは様々な細胞に存在しているので、この項目のみで何の病気なのかを判断するのは困難です。他の検査項目と総合的に判断して診断を行います。しかし、他の血液検査やエコー、CTなどの画像検査などでもLDの上昇の原因が判断できない場合には精密検査としてLDアイソザイムという検査を行うことがあります。
そこで今回はLDアイソザイムについても書きたいと思います
LDアイソザイムとは
LDは構造の違いによって様々な種類のものが存在します。それぞれのLDは構造は違いますが、同様の機能を持っています。このようなものをアイソザイムと呼び、LDには5種類のアイソザイムがあります。そして各組織によってLDの種類の分布が違います。そこでLDの値が高い場合はこのLDアイソザイムを測定し、どの種類のアイソザイムが上昇しているかによって由来組織を判断します。
基準値
LD1:21~33%
LD2:30~37%
LD3:18~23%
LD4:7~12%
LD5:5~14%
アイソザイムの上昇
LDには5種類(LD1、LD2、LD3、LD4、LD5)のアイソザイムが存在すると書きました。これらはどの組織に異常が起きているかによって特異的な上昇パターンを示します。そのパターンによって障害が起こっている臓器を診断します。
・LD1、2優位
心筋、腎臓、赤血球、腫瘍細胞を由来とする病気で認められます。
・LD2、3優位
骨格筋、白血病細胞を由来とする病気で認められます。
・LD3、4、5優位
多臓器からの転移性腫瘍の細胞由来で認められます。
・LD5優位
肝臓、子宮の悪性腫瘍、骨格筋を由来とする病気で認められます。
LDのアイソザイムによってだけではおおまかにしか判別できませんが、ASTと組み合わせることでさらなる判別が可能です。
下の表はLDアイソザイムの上昇パターンとLD /AST比から判断できる障害部位です。
|
LD/AST比 |
疾患例 |
由来細胞 |
LD1・LD2優位 |
5~20 |
心筋梗塞 |
心臓 |
30以上 |
溶血性貧血など |
赤血球 |
|
50以上 |
精巣腫瘍 |
腫瘍細胞 |
|
LD2・LD3優位 |
5~20 |
筋ジストロフィー 多発性筋炎 |
骨格筋 |
20以上 |
白血病、リンパ腫 |
リンパ球(白血球) |
|
LD3・LD4・LD5優位 |
5以上 |
急性の筋障害 |
骨格筋 |
20以上 |
悪性腫瘍 |
|
|
LD5優位 |
5以下 |
急性肝炎 |
肝臓 |
|
5~20 |
子宮癌、肝臓癌 |
このようにアイソザイムのパターンや他の検査との総合評価によって由来臓器を判断します。
アイソザイムは健康診断や人間ドックでは検査されず、総合病院などで行われる精密検査となります。アイソザイムの検査は特殊な検査ですので、LD値が上昇していても基本的におこなわれません。検査を行うかどうかは担当医が判断しますので、担当医の判断に任せましょう。
まとめ
LDは様々な細胞に存在する酵素です。値の上昇が認められた場合は他の様々な検査との総合的な結果から診断されます。医療機関を受診し精密検査を行いましょう。
また医師の判断によってアイソザイムの検査を行い診断を行うことがあります。そのときにはこの記事を参考にしてご自身でも評価してみてください。
今回は少し長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
心電図って何??
こんにちはラボです。病院で臨床検査技師として生理検査を担当しています。生理検査とは心電図やエコー検査、聴力検査など直接患者さんに対して行う検査です。
皆さんは心電図や腹部エコー検査などを受けたときに『何をしているんだろう?』と不安に思ったり、『何がわかるんだろう?』と疑問に思ったりしたことはありませんか。そこで今回は皆さんに心電図検査を少しでも理解した上で検査を受けていだだけるように紹介していきたいと思います。
心電図とは
心電図とは心臓の評価を行うための検査です。心臓の動きに伴って発生する電気信号を波形として記録します。この心電図の波形の形や波形が出現するリズムによって心臓が規則正しく動いているか心臓に障害が出ていないかを診断します。
検査方法
手首と足首、胸を露出しベットに仰向けで横になります。両手首と両足首にそれぞれ1個ずつ、胸に6個の電極を装着し、記録します。記録後は電極を外して終了です。
検査時間は数分とかなり短時間で済み、痛みもないため簡単に行える検査の一つです。そのため胸の痛みなど心臓の異常を疑う症状がある患者さんに対して最初に行われる検査です。
注意点
両手首や両足首、胸に電極を装着したら体を動かさず、力を入れないようにしましょう。少しでも力が入っていると波形にノイズが入ってしまい、うまく記録ができません。
何の病気がわかるのか
・不整脈
規則正しい心臓の運動が不規則になる病気で、心電図の波形が不規則な間隔で記録されます。不整脈には様々な原因があり、どのような原因による不整脈かを診断することも病気の種類によっては可能です。
・虚血性心疾患
心臓の血管が狭窄したり詰まることで心臓の一部の組織に血流が届かず、心臓の組織が壊死してしまい正常な働きができなくなる病気です。このように心臓の組織が機能しなくなると心電図の波形がいびつな形になります。この波形の形を評価することで、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患を診断することができます。
・心臓の肥大
心臓が肥大すると心臓から発せられる電気信号が大きくなり、心電図の波形が大きくなるので診断できます。
一部の例を挙げさせていただきましたが、もっと様々な心臓の異常を判断することができます。
しかし専門の知識を持つ方でないと心電図の判断は難しいので、波形の評価は専門医に任せましょう。
もっと心臓の病気を知りたい方はこの本を読んでみてください。
異常になったら
心電図で異常と判断された場合、さらに精密な検査を行います。精密検査には心臓超音波検査や運動負荷心電図、ホルター心電図などがあり、これらの追加検査で病気を診断します。心臓は体内にあるので様々な検査を行い慎重に診断を行っていきます。多くの検査を行うのは大変ではありますが、正確な診断には必要なことなのです。
まとめ
心電図は心臓を評価するための検査です。心電図の結果からさらなる精密な検査へと繋がりますので、正確な検査を行う必要があります。心電図の検査を受けるときは検査担当者の指示に従いましょう。
今回は心電図を紹介してみました。拙い文章ですのできちんと伝えられてかわかりませんが、皆さんが検査を受けるときに少しでも参考にしていただけたら幸いです。
検査技師が解説するγ-GTPとは?
こんにちはラボです。医療は日々進歩しているので僕たち医療関係者も勉強の日々です。勉強し続けないと医療の進歩についていけなくなってしまうので、勉強が大変に感じることもあります。しかし少しでも患者さんの役に立てるなら頑張って勉強しようと思い頑張っています。このブログでも少しでの誰かの役に立っていれば嬉しいです。
今回はγ-GTPという項目について書いていきます。
γ-GTPとは
γ-グルタミルトランスペプチダーゼの略で、肝臓での解毒作用に関与している酵素の一つです。肝臓や腎臓、膵臓に存在し、これらの組織が破壊された時に上昇します。特に肝臓に多く含まれています。
基準値
男:10~50 IU/l
女:9~32 IU/l
*男性よりも女性の方が低値です
異常となる原因
・飲酒、薬剤
アルコール成分や薬の成分を肝臓で分解する時に作用する酵素なので、飲酒や服薬によって酵素が作用し上昇します。
・アルコール性肝障害
アルコールの肝障害では特に鋭敏に反応し上昇します。
・肝硬変、肝癌、胆管の腫瘍など
肝臓にて処理された老廃物は胆管を通って消化管へと流れ出て、便となって排出されます。しかし肝臓や胆管に異常があると老廃物の排泄が障害され、肝臓へと逆流します。この時に老廃物と共に酵素も逆流し、逆流した酵素は血液中に漏れ出しγ-GTPの値も上昇します。
異常値になったら
γ-GTPの上昇が認められる場合はまず飲酒歴や服薬歴を知る必要があるので、医療機関を受診する際はお薬手帳を持参しましょう。そのあとに他の検査項目や超音波、CT等の画像検査を行い総合診断します。
まとめ
γ-GTPはアルコールに対して鋭敏に変動します。γ-GTPの値が高い方で毎日お酒を飲んでいる方は断酒をすると改善することがありますので挑戦してみてください。しかし長年の飲酒により肝臓に障害が現れてしまている場合もあります。アルコールによる肝障害は放置すると肝硬変や肝癌の原因となりますので、医療機関への受診は忘れずに。
今回も読んでいただきありがとうございました。
検査技師が解説する総ビリルビンとは?
こんにちはラボです。僕の病院では職員の健康診断を病院内で行なっており、定期的に1日数十人の健康診断を行います。そしてこれは臨床検査技師である僕たちが行います。そのため健康診断が行われる時期はかなり忙しくなります。
さて今回は肝臓に関連する項目であるビリルビンについて解説して行きます。
総ビリルビンとは
血液の成分である赤血球が分解されてできるのがビリルビンです。ビリルビンは胆嚢に溜められている胆汁の成分の一種であり、胆汁は消化液として消化管内に排出され、便として体外に排出されます。特定の疾患によりビリルビンが体外へ排出されなくなると、体に黄疸など様々な症状が起こってしまいます。
*黄疸とは体内にビリルビンが蓄積することで眼球や皮膚が黄色くなることです。皮膚の痒みや倦怠感などの症状が現れます。
基準値
0.3~1.2mg /dl
異常となる原因
・肝臓
血液中にあるビリルビンは肝臓で処理され体外に排泄されます。そのため急性肝炎や肝硬変、肝癌などによって肝臓の機能が障害されるとビリルビンが処理されなくなり、血液中のビリルビン濃度が上昇します。
・胆道系
胆汁が排出される道である胆道が何かの疾患により塞がれると胆汁が排出ができなくなり、血中濃度が上昇します。胆管結石や胆管癌などの病気が考えられます。
・血液の病気
血液の病気により血球がたくさん壊されると赤血球の代謝産物であるビリルビンがたくさん作られ血中の濃度が上昇します。
初期症状(黄疸)
ビリルビンが体内に蓄積されると黄疸が出現します。黄疸は眼球や皮膚が黄色くなることで、まずはじめに眼球に出現すると言われています。そして黄疸が進行すると倦怠感や痒みが出現してきます。黄疸が出現してきた場合は重い疾患がある可能性が高いので、すぐに病院を受診しましょう。また黄疸は徐々に進行するため自分では気づきにくいことも多いです。家族や友人など他人に指摘されて気づくこともあるので、指摘された場合は他に症状がなくても一度病院への受診をお勧めします。僕の病院でも体が黄色くなってきたので受診しましたという患者さんが重症な病気を持っていたとういことが結構あります。軽く考えないことが重要です。
異常値になったら
ビリルビンは毒性が強く、高度に上昇すると脳や神経に障害をきたすことがあります。ビリルビンの値に異常が認められたら、病院での早期治療をお勧めします。
今回の項目には総ビリルビンと総という字が付いていますが、これはビリルビンは直接ビリルビンと間接ビリルビンに分けられるためです。間接ビリルビンとは赤血球が壊れてできたときにできるビリルビンです。そして間接ビリルビンが肝臓によって処理されたものが直接ビリルビンです。そのため直接ビリルビンと間接ビリルビンの値を測定することでどこの障害が原因で総ビリルビンが上昇しているかが判断できます。
直接ビリルビンの場合
肝臓によって処理された後のビリルビンが体外へ排泄されないために上昇します。胆汁の通り道である胆道系の疾患や肝臓(肝臓内の胆管)の疾患などが原因となります。
間接ビリルビンの場合
溶血性貧血などの血液の病気では壊される赤血球が多く、ビリルビンが多く産生されてしまい血液中の濃度が上昇します。また肝臓の機能が障害される肝硬変や急性肝炎などの疾患では肝臓での処理に障害が起こるため処理される前の間接ビリルビンの濃度が上昇します。
まとめ
ビリルビンの上昇では主に肝臓や胆道系の疾患を疑います。他の肝臓系の血液項目と総合的に判断し、疾患の特定に役立てましょう。また肝臓や胆道系の疾患は早期発見、早期治療が完治につながることが高いです。健康診断での血液検査でビリルビンが高かった場合や黄疸が疑われる場合は早期に消化器内科やかかりつけ医を受診しましょう。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。この記事を参考に健康維持に役立てていただけると嬉しいです。こちらの本も参考にしてみてください。より詳しい知識が得られると思います。
花粉症の時期ですね!
こんにちはラボです。最近病院では花粉症に関連する検査が増えてきています。みなさんは花粉症はいかがですか。僕は目が痒くなり、花粉が多い日は鼻水が止まらなくなります。しかし症状はそれほど重くないので薬は飲んでいません。症状が重い方は耳鼻科を受診し、薬を処方してもらいましょうね。
ということで今回は花粉症について書いて身たいと思います。
花粉症とは
近年、日本人の約25%は花粉症であるといわれ、さらに年々患者が増えています。これは花粉の量が年々増加しているからと考えられています。花粉症は体内に花粉が侵入することにより発生するアレルギー反応です。原因となる植物はスギやヒノキ、イネ、ブタクサ、ヨモギなど約60種類が報告されています。日本ではスギ林が多く、スギ花粉での花粉症がほとんどです。
花粉は植物の種類によって飛散時期が異なります。スギの場合は1月以降、ヒノキの場合は3月以降にかけて流行します。また気候条件によっても飛散時期や飛散量い変動があります。
花粉は目や鼻、口から体内に侵入すると体では免疫機構が異物と判断し、アレルギー反応を引き起こします。花粉が体内に入らないような対策を行いましょう。
症状
主なものはくしゃみ、鼻水、鼻づまりです。しかし花粉の飛散量や暴露時間などによって症状は様々で、鼻の痒みや頭痛が起こることもあります。また、花粉が目に入ってアレルギー反応が起こると目の痒みや充血、涙が出るなどの症状が起こることもあります。
検査
血液検査でアレルギーに関連性の深い好酸球やアレルギー物質を異物と判断して攻撃するIgE抗体などを測定します。他にも鼻水が花粉症の症状なのか風邪の症状なのかを判断するために鼻水の中の好酸球を顕微鏡で観察する検査もあります。そして原因を特定するために特異的IgE抗体測定という検査もあります。これは患者さんの血液がどのアレルゲンに反応するIgE抗体を持っているかを測定するもので、スギやヒノキ等どの花粉に反応しているかがわかります。この検査は食べ物のアレルギー反応の確認でも行われます。まとめて検査することも可能ですので、一度確認して見てもいいかもしれませんね。
予防・治療
花粉症の最大の予防は原因物質つまり花粉が体内に入り込まないようにすることです。そこで花粉の飛散時期には飛散情報の確認をし、外出時には眼鏡やマスクを着用しましょう。帰宅時には服や髪を払い花粉を落とし、手洗いやうがいを行いましょう。睡眠不足や疲労、ストレスなど生活習慣の悪化は花粉症の原因になる可能性があるので、関係がないように思われるかもしれませんが生活習慣には気をつけましょう。
また薬物による治療も有効です。服薬による治療の際は症状などによって薬の種類が違いますので、耳鼻科を受診し医師に処方してもらいましょう。
まとめ
花粉症はつらい症状を引き起こします。また症状が起こることで仕事や勉強に集中できなくなると思います。しかし近年では対策をしっかりと行い、薬を服用すれば症状をかなり抑えることができます。毎年つらい症状が起こっている方はしっかりと対策や治療を行い花粉症に対処しましょう。